ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
令丈ヒロ子さんの人気児童文学が原作の劇場版アニメ「若おかみは小学生!」(高坂希太郎監督)がジワジワと人気になり、ヒットしつつある。同作は9月21日に247館で公開されたが、週末2日間(22、23日)の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)でトップ10圏外と出だしが好調だったわけではない。しかし、SNSで「自然と涙が出てきた」「今年一番泣いた映画だった!」などと感動の声があふれ、口コミで話題になり、公開3週目は、上映館数が減ったものの動員が増えた。また、美しい映像を絶賛する声も多い。「若おかみは小学生!」に魅了される人が続出しているのはなぜなのか? こだわり抜いた映像の魅力に迫った。
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「若おかみは小学生!」は、青い鳥文庫(講談社)から出版され、累計発行部数300万部を誇る。交通事故で両親を亡くし、祖母の温泉旅館・春の屋で暮らすことになった小学6年生の関織子(おっこ)が、ユーレイのウリ坊やライバルの秋野真月に助けられながら、次々とやってくる変わった客をもてなすために毎日奮闘する姿が描かれている。テレビアニメも4~9月に放送された。
劇場版の21日までの観客動員数は約19万人、興行収入は約2億3836万円。「君の名は。」の新海誠監督らアニメ、マンガ関係者がツイッターなどで絶賛する声を寄せたことも話題になった。児童小説が原作ということもあり、メインターゲットはファミリー層だが、アニメファンや映画ファンの動員も増えているという。
高坂監督は、「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などスタジオジブリ作品の作画監督や原画を担当してきたことでも知られる。劇場版アニメの監督を務めるのは、2003年公開の「茄子 アンダルシアの夏」以来、約15年ぶりとなった。「若おかみは小学生!」では「一人の少女の成長」を描こうとした。「映画は時間の制限もあるので、せりふをなるべく削り、表情や動きを見せることで、物語を展開させていく。アニメーションは動いてなんぼのところもありますし」と映像を作り上げた。
「若おかみは小学生!」で驚かされるのは美しい映像だ。背景などが丁寧に描かれ、食事シーンで食べ物がおいしそうに見える。高坂監督は「五感を刺激する表現をきちんと押さえるのは、基本中の基本なんですね。背景は色を極端に鮮やかにしているところもありますが、なるべくリアルにしようとした。リアルにすることで、映画の世界に入りやすくなる効果もあります。リアルに感じていただくことは大切なファクター。意識してやっています。大変ですけどね(笑い)」とこだわり抜いた。
主人公・おっこの声優を務めるのは、「カルピス」のCMなどで人気子役として活躍してきた小林星蘭さんだ。高坂監督は、小林さんの演技を「一人の収録もあったから、重圧だったんじゃないかな? フレキシブルに対応していただきました。言ったことを直ちに形にしていただいたり、勘がいいし、頭の回転が速いんですよね。本当に巧みに演じていただき、舌を巻きました」と絶賛。美しく、細部までこだわった映像、小林さんの熱演などがあったからこそ、物語の世界に引き込まれ、感情を揺さぶられるのだろう。
公開時は集客に苦戦したが、口コミで話題になり、ロングランを記録した劇場版アニメとして「マイマイ新子と千年の魔法」(2009年公開)もある。「マイマイ新子」は、「この世界の片隅に」の片渕須直監督が手がけたアニメで、いまだに上映会が開かれるなど長く愛されている。「若おかみは小学生!」もまた長く愛される作品になっていくのかもしれない。
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