人気アニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの完全新作劇場版「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が、1月26日の公開から52日間で興行収入が40億円を突破した。1982年公開の「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」が記録した興行収入約23億円を超え、「ガンダム」シリーズの劇場版の歴代最高興行収入記録を約42年ぶりに更新するなど大ヒットしている。劇場版は、2006年に制作が発表され、その後は長らく続報が途絶えていたが、発表から約18年を経て、福田己津央監督らテレビアニメのスタッフが再集結し、公開を迎えた。ファンにとっては、まさに待望の劇場版となり、リピーターも多いようだ。
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「機動戦士ガンダムSEED」は2002年10月~2003年9月、続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」は2004年10月~2005年10月に放送された。これまでのガンダムシリーズのファンに加え、多くの女性層を獲得し、“21世紀のファーストガンダム”とも呼ばれている。
「SEED FREEDOM」は、見る度に発見がある。テレビシリーズは「機動戦士ガンダム」をはじめとした宇宙世紀作品へのリスペクト、オマージュが込められていた。「SEED FREEDOM」も同様にリスペクトを感じるところがある。
福田監督はインタビューで「映画をご覧なって全てのネタが分かったら大したもんですよ。『ドラグナー』っぽいところもありました。最終回と同じようなカット割りもあります。僕が演出したのですが。大張(正己)さんもいますしね」とも話していた。
「ドラグナー」とは1987~88年に放送された「機甲戦記ドラグナー」のことだ。「機甲戦記ドラグナー」は、大河原邦男さんがメカデザインを手掛け、福田監督が演出、大張さんがオープニングアニメやメカ作監を担当した。福田監督は、同作を手掛けた神田武幸監督を師と仰いでいる。「SEED FREEDOM」には「機甲戦記ドラグナー」のキャバリアーのようなメカも登場する。
大河原さんにインタビューした際、福田監督の提案で、キャバリアーのようなメカが登場することになったことを明かしていた。
ネタバレになるので触れないが、「ドラグナー」以外にもさまざまなオマージュがちりばめられており、幅広い世代が楽しめるのも「SEED FREEDOM」の魅力の一つになっている。
もちろん「SEED FREEDOM」の魅力は、オマージュだけではない。キャラクターやMSの魅力が約2時間に凝縮されている。だから何度も見たくなるのかもしれない。特に後半は、怒涛の展開で、圧倒された人も多いはずだ。
アニメを手掛けたバンダイナムコフィルムワークスの仲寿和プロデューサーは「起承転結が分かりやすく、前半を丁寧に描きつつ、後半が駆け足になりすぎていません。時間、場所が飛ぶところもあるのですが、分かりにくいわけではなく、本当にすごい構成です。後半は特に監督が大変だったと思います」とも話していた。
福田監督はこれまでインタビューやイベントなどで「ファンのために」と度々口にしてきた。約18年にわたって待ち続けてきたファンに向けて、何度見ても楽しめる作品にしようとしたのかもしれない。同作は、4DX、MX4D、Dolby Cinema版も公開されており、好調だという。ラージフォーマットで鑑賞してもまた新たな発見があるかもしれない。
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