今をときめくスターやアーティストにも、初出演、初イベント、初ライブなど必ず存在する“はじめて”の瞬間。そんな未経験ならではのドキドキの瞬間を、本人に振り返ってもらうのが「私のはじめて」です。現在公開中の映画「恋わずらいのエリー」での演技も話題の俳優・原菜乃華さんに、初めての“声の仕事”を振り返ってもらいます。
ウナギノボリ
解説:朝ドラ“メガネっ娘”の系譜 過去にもブレークした俳優が
初めての声のお仕事は、新海誠監督の劇場版アニメ「すずめの戸締まり」でした。それまでコンプレックスだった自分の声を好きになるきっかけになった作品です。
印象に残っているのは、アフレコで私が一言二言しゃべるたびに、新海監督が「すごくすてきでした、ありがとう」と声を掛けてくださったこと。お芝居をしていて「ありがとう」と言われることってあまりないので、アフレコ期間は気持ちがすごく温かくて。「ありがとう」という言葉はすてきだなと感じましたし、すごくすてきな経験をさせていただきました。
アフレコに入る前に、新海監督が声を当てた映像をいただいて、それを聞きながら練習に励みました。その動画を今も大切にスマホに保存していて、ことあるごとに見返して、「こんなことあったな」「楽しかったな」と思い出しています。
劇中でのせりふは長尺だったのですが、間やテンポ、せりふを全部丸暗記してアフレコに臨みました。不安なことがあった時や、行き詰まった時に「そこまでできたんだから、もっとやれる!」と、自分を奮い立たせる意味でも、新海監督が声を当ててくださったその映像を見返したくなります。
完成した作品を見た時は、自分のお芝居がどうというよりも、本当にすばらしい作品に携われたことへの感動のほうが大きくて、わけの分からない涙が止まらず、全然しゃべれなかったことを覚えています。私にとって宝物のように大切な作品です。
はら・なのか 2003年8月26日生まれ、東京都出身。子役出身で、連続ドラマ「真犯人フラグ」(日本テレビ系、2021~22年)や「ナンバMG5(エムジーファイブ)」(フジテレビ系、2022年)などで注目を集め、2022年11月公開の新海誠監督の劇場版アニメ「すずめの戸締まり」では、ヒロイン・岩戸鈴芽(いわと・すずめ)を演じ、声優としての実力も披露。2023年には、NHKの大河ドラマ「どうする家康」、連続ドラマ「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系)や「泥濘の食卓」(テレビ朝日系)、映画「ミステリと言う勿(なか)れ」など話題作に立て続けに出演。現在公開中の映画「恋わずらいのエリー」では、妄想大好き女子・市村恵莉子(エリー)を演じている。2024年冬に「Prime Video」で配信されるドラマシリーズ&映画「【推しの子】」に有馬かな役で出演することが決まっている。
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