世界的にヒットしたアクション・アドベンチャーゲーム「プリンス・オブ・ペルシャ」シリーズを基にしたディズニーが手がけるハリウッド大作「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」(マイク・ニューウェル監督)が全国で公開中だ。古代ペルシャ時代を舞台に、時間を巻き戻し過去を変えることができるという伝説の「時間の砂」が収められた短剣が悪者の手に渡ることを阻止しようと、王子ダスタンと、彼に協力する聖なる都アラムートの姫タミーナのロマンたっぷりの大冒険が展開する。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどで知られる名プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーさんが製作を担当し、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のマイク・ニューウェル監督がメガホンをとった。製作総指揮の一人に名を連ねる、映画の原案となったゲームのクリエーター、ジョーダン・メックナーさんに聞いた。(毎日新聞デジタル)
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−−「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」が映画化されることになった経緯を教えてください。また、映画化が決定した時のお気持ちを教えてください。
このゲームが映画化されることは、常々望んでいました。シリーズ1作目のゲームが誕生してから20年の時を経て、ロケーション撮影、何千人というキャスト、そして素晴らしい特殊効果を駆使した、ジェリー・ブラッカイマーならではの壮大なスケールで映画化されることになったのは、自分にとって本当に夢のようなことです。
−−「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」でジョーダン・メックナーさんはストーリー・ライターという肩書になっていますが、具体的にどのように映画にかかわられたのでしょうか?
映画化にあたり、まずはブラッカイマーを説得する必要がありました。そこでゲームのストーリーが映画としてもきちんと成立することを証明すべく、ゲームの映像を使って2分間の予告編のようなものを作ったんです。初期段階で準備稿をいくつか手掛けたこともあり、最終的にはエグゼクティブ・プロデューサーの一人として名を連ねることになったというわけです。
−−どのようなところを、どのような観客に見てほしいと思っていますか?
この映画を見てくれる人たちには、想像に満ちた素晴らしい大冒険を通して別世界に旅立ち、繰り広げられる物語の世界にどっぷり浸かって、2時間の間とにかく楽しんでほしいですね。ジェリー・ブラッカイマーにこの映画の企画を持ち込んだとき、私の中にあったのは、20年前にオリジナルのゲームを作る着想を与えてくれたような刺激的な映画にしたい、という願いでしたが、この映画はまさにそういった素晴らしい作品に仕上がっていると思いますよ。
−−ゲームと映画の異なっている点はありますか? あるとしたら、どうしてそうなったのでしょうか?
この映画は、主に03年に発表した同タイトルのゲームを基にしていますが、ストーリーは異なったものになっています。なぜそうしたかというと、ゲーム版ではあくまでプレーすることを念頭に置いてストーリーを考えたのに対し、今回の映画版ではスクリーンで見て、体験することに焦点をしぼる必要があったからです。物語の出だしはある程度似通ってはいますが、例えばゲーム版ではすべてのキャラクターが砂の影響によって化け物へと変身してしまうところから始まる一方、映画にはそのような展開はありません。
−−ゲームでも演じられた剣を打ち合う激しい決闘シーンや、床が抜け落ちたり、がけを飛び移るようなアクションシーンはあるのでしょうか。
ゲーム版をプレーしたことがある人なら、映画中で動きの点で多くの共通点に気づくと思いますが、映画版ではさらにすごいアクションが展開します。特にゲートが開いたり、落ちてきたりといったアクションには注目してほしいですね。
−−なぜ人気ゲームを今、映画化しようと考えたのでしょうか? その映画化にあたっての苦労をお聞かせください。
ゲームを映画化する作業で最も難しい点は、ゲームはそれを実際にプレーするプレーヤーによって定義づけられるのに対し、映画にはその法則が通用しない、という二つのメディアの根本的な違いです。映画化にあたっての最大のチャレンジは、ゲーム版のエッセンスを残しつつ、ゲームのプレーヤーではなく映画の観客にエモーショナルな体験を促す、映画版ならではのストーリーを作り出すことでした。
−−映画のシリーズ化の予定はありますか?
この先どうなるかなんて誰にもわかりませんし、私には“時のダガー”もないので知る術(すべ)もありませんが(笑い)、シリーズ化に関連した動きという点で一つだけいえるのは、この映画を基にしたグラフィックノベルが来年春ごろ、アメリカで発売になります。
−−この映画を愛する日本のファン、また公開を楽しみにしている人たちにひと言お願いします。
長年「プリンス・オブ・ペルシャ」シリーズを応援してくれてありがとうございます。89年にシリーズ1作目のゲームを発表して以来、日本のファンは根強く、そして熱心に支えてくれましたし、日本での成功が、その後のシリーズ化、はては今回の映画化につながったという点でも、日本のファンの皆さんには本当に感謝しています。
<プロフィル>
米国の名門エール大の卒業生で、ゲーム業界で最も尊敬されるクリエーターの一人。アクション・アドベンチャーゲーム「プリンス・オブ・ペルシャ」(89年)、「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」(04年)、「カラテカ」(84年)などは、ゲーム批評家が選ぶ歴代ベストゲームに挙げられ、ゲームの新時代を築いた。とくに「プリンス・オブ・ペルシャ」は、アクションに満ちたリアルなアニメーションと映画さながらの壮大なストーリーで、90年代初頭にほぼすべてのPCとゲーム機に対応するソフトが発売され、200万本以上を売り上げ、のちの同様のゲームの開発に大きな影響を与えた。メックナーはゲーム業界で成功するだけでなく、映画の脚本と監督も手がけ成功している。彼の手がけたドキュメンタリー「チャべス・ラヴィーン:ア・ロサンジェルス・ストーリー(原題)」は03年のIDAアワードでベスト・ショートドキュメンタリーに選ばれ、アカデミー賞の最終選考にも残った。
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