ブッダ:手塚治虫の傑作、3部作でアニメ化 吉永小百合、堺雅人、吉岡秀隆ら豪華キャストで

「手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく」に声の出演をする(左から)吉永小百合さん、堺雅人さん、吉岡秀隆さん
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「手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく」に声の出演をする(左から)吉永小百合さん、堺雅人さん、吉岡秀隆さん

 故手塚治虫さん(89年死去)が仏教の開祖の生涯を描いた傑作マンガ「ブッダ」が劇場版アニメ化されることになり、吉永小百合さん(65)や堺雅人さん(36)、吉岡秀隆さん(39)ら豪華キャストが主要キャラクターの声を担当することが7日、明らかになった。全3部作で第1部だけで製作費10億円という大作となる。

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 「ブッダ」は、手塚さんがマンガ誌「希望の友」(潮出版社、「少年ワールド」「コミックトム」と改題)で72~83年まで連載していたマンガが原作。説話に基づいたものではなく、ブッダ(釈迦=しゃか)の人間ドラマとして描き、エンターテインメント作品に仕上げた。マンガ界のアカデミー賞と呼ばれる米国のアイズナー賞最優秀国際作品部門を04、05年に連続受賞。手塚さんのキャリアで最長となる10年の歳月を費やし、まさに人生を懸けて挑んだといわれている。日本国内で約2000万部を発行し、英語、フランス語、ポルトガル語、韓国語、中国語、スペイン語、イタリア語で翻訳されている。

 2500年前のインドが舞台。王国間の争いが絶えないこの地に、世界の王になると予言されたシャカ国の王子、ゴータマ・シッダールタが生まれた。思春期を迎えたシッダールタは、盗賊の少女ら身分の低い人々と心を通わせ、厳しい階級社会に疑問を抱くようになる。やがて強大なコーサラ国がシャカ国に攻め入り、激しい戦争が始まった。コーサラ国軍の指揮をとるのは、将軍の息子にして国一番の勇者チャプラだった。奴隷の生まれを隠し、将軍の命を助けてのし上がり、立身出世しようともがくチャプラと、人を救えるのなら高貴な身分を捨ててもいいと願うシッダールタ。二つの正反対の魂が戦場で交錯する……というストーリー。

 ナレーションとチャプラの母の声を担当する吉永さんは「大好きな手塚作品に参加できましたこと、とてもうれしく思っております。皆さま、ぜひ来年の公開をご期待ください。悲しいニュースや争いの多い日々ですが、きっと、優しい気持ちになれる映画だと思います」とコメント。チャプラ役の堺さんは「アクションが多く、低い身分からスーパーヒーローに上りつめるというスケールの大きい役だったので、楽しんで演じました。(吉永さんとは録音は別ながら母子としての共演となり)吉永さんの声を聞きながら演じましたが、心に染み入るようなお芝居で、ご一緒させてもらい光栄です」と共演を喜んでいる。

 シッダールタ役の吉岡さんは「手塚作品は、私が22~24歳くらいのときに、『ブッダ』や『火の鳥』『アドルフに告ぐ』『ブラック・ジャック』などをすがるように読んだ記憶があります。人間の根源を描くそれらの作品に救われました。声の演技は、自分で“間”を作れないので、その状況でどこまでシッダールタの気持ちに入っていけるかが難しかったです。昔『ブッダ』を読んだ大人の方たちが子ども連れで劇場に来てもらえればうれしいです」と呼びかけている。その他、マリッカ姫役に黒谷友香さん、スッドーダナ王役に能楽観世流二十六世家元の観世清和さんが出演する。

 「ブッダ」の映像化は今回が初めてで、過去に何度かオファーがあったが、原作が壮大すぎて映像化するのが難しく、数社が道半ばにして断念していた。映像化不可能といわれたが、東映の岡田裕介社長の熱い思いから企画が動き出し、構想から10年で全3部作の脚本が仕上がった。第1部だけで製作費は10億円といわれる。手塚さんは東映動画(現・東映アニメーション)でアニメ作家としてのキャリアをスタートさせ、その後、独自のアニメ制作会社「虫プロ」(現・手塚プロダクション)を設立した経緯があり、ライバル関係であり友情で結ばれた手塚プロダクションと東映アニメーションが手を組むのは今回が初めてという。11年5月28日全国でロードショー予定。(毎日新聞デジタル)

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