ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、新人マンガ家の石井あゆみさんが、タイムスリップをした現代の高校生が織田信長となって天下統一を目指す「信長協奏曲(コンツェルト)」(小学館)です。ゲッサン編集部の市原武法さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
日本の歴史に何の興味もない平成生まれの普通の高校1年生サブローが、ある日突然、戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこで出会った本物の織田信長は病弱で顔はサブローそっくりだった! その信長に「体の弱い自分に代わって織田信長として生きてくれ」と頼まれてしまい、何故かサブローは織田信長として戦国乱世を生きることに!! 織田信長を衝撃の新解釈で描く、時をかける風雲児サブローの戦国青春記!!!……というのが「信長協奏曲」のあらすじ紹介なのですが、本当のこの作品の魅力はとても僕には皆さんにお伝えする自信がありません。「石井あゆみ」という希代の異端児が醸し出す独特の石井ワールドの魅力は実際に読んでみないとなかなか伝わらないからです。なので僕に代わりまして、高橋留美子先生が「信長協奏曲」第3巻のオビに寄稿してくださった推薦コメントをご紹介させていただきます。
「ファンタジーであることを忘れさせる妙なリアリティーと説得力、適度な脱力感。この信長、面白いです!」
−−作品が生まれたきっかけは?
石井あゆみ先生とは先生が17歳のころからの付き合いになります。天才的な才能を持っていると確信してはいたのですが、その才能は個性的かつ、あまりにも異端の才能だったので、どんなマンガを描く才能なのか全く分かりませんでした。新人マンガ家の才能は個性的であればあるほど、なかなかピントが合わないのです。なので5年間、日常コメディーから座敷わらしもの、変則ラブコメ、野球ものまで本当にさまざまなジャンルにチャレンジしましたが、どれも僕にはしっくりきませんでした。「石井あゆみはこれを描くためにマンガ家になったんだ!」という確信、ひらめきがどうしても持てなかったのです。そんな試行錯誤の中、たまたま石井先生が「歴史ものが好き」ということが分かり(遅すぎますが……)、そこから一気に連載企画が組み立てられていきました。そして、「信長協奏曲」の1話目のネームを見た瞬間、「ああ、これを描くために石井あゆみはマンガ家になったんだ!」という確信を感じられたのです。
−−作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変なことは?
僕は、石井あゆみ先生の才能に初めの投稿作品で一目ぼれしたのですが、当時から僕以外の周囲の編集者の評価はひどいものでした。「少年誌は無理」「この絵じゃ売れない」「もっと萌え絵じゃないと……」「おまえがこのマンガ家の何を評価しているのか全く分からない」などなど。でも僕は、彼女がすごい才能の持ち主であると確信していたので全く気になりませんでした。その石井あゆみ先生の才能が覚醒し、あだち充先生や高橋留美子先生、荒川弘先生、とよ田みのる先生など多くのマンガ家さんたちが絶賛してくれて、多くの読者の皆さんからファンレターをいただくと、本当に幸せな気持ちになります。今後も、もっともっと多くの読者の方に喜んでもらいたいなと願っています。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします
コミックス3巻までで序章が終わり、ついにタイトル通り「信長協奏曲」が本格的にスタートします! 歴史ファンの方には、「斉藤道三編」「明智光秀の正体」を超えるさらなる衝撃の展開の数々が待っているはずです! 「歴史は苦手だ」「歴史マンガは嫌いだ」という方もこの「信長協奏曲」はこれまでのどんな歴史マンガとも違います。歴史がまったくわからない人でも面白く読んでいただけると思っております。この「石井あゆみ」という日本マンガ界の異端児の才能が本物かどうか、ぜひ皆さんの目で確かめてみてください。
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