角川書店:台湾からライトノベルを逆輸入 「華葬伝」翻訳本を11年1月1日発売

「華葬伝~フラワーレクイエム~」の作者の久遠さん(左)とイラストレーターのIzumiさん
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「華葬伝~フラワーレクイエム~」の作者の久遠さん(左)とイラストレーターのIzumiさん

 角川書店は16日、台湾のライトノベル「華葬伝~フラワーレクイエム~」を日本語に翻訳して発売すると発表した。同社によると、中国語のライトノベルが日本で翻訳し出版されるのは初めてという。11年1月1日発売予定で、価格は上巻540円、下巻520円。

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 台湾のライトノベル市場規模は約9億円で、発行部数は日本の20分の1くらいという。角川書店が02年から「新ロードス島戦記 序章」を中国語に翻訳して出版したところ人気となり、以後は「フルメタル・パニック!」「涼宮ハルヒの憂鬱」「彩雲国物語」「灼眼のシャナ」などが売れ、06年からはライトノベルが「軽小説」という名称で定着。今では、オリジナル作品も生まれつつあり、台湾向けに翻訳した中国語のライトノベルは今年から中国でも発売されている。

 「華葬伝」は、08年から始めた新人賞「台湾角川ライトノベル大賞」のグランプリに当たる金賞を受賞した作品で、09年に台湾と中国で発売されている。作者の久遠(くおん)さんは、台湾の大学院生。作品は400年前に死を恐れた人々が神を殺した世界を舞台に、記憶をなくした少女が4人の仲間と戦う日々を送っていたが、世界のあり方に不満を持ち、神の復活を願う人との間に衝突が生まれるというストーリー。角川書店の女性向けライトノベルレーベル「角川ビーンズ文庫」から発売される。

 会見に登場した久遠さんはライトノベルの本場、日本で翻訳されることについて「うれしく思う。日本のライトノベルは、透明感があってすばらしい。日本の作家では、乙一さんと小野不由美さんの作品を楽しみました」と喜びの声を語った。角川書店の井上伸一郎社長は、中国での事業展開を解説しながら「地域を問わず、世界中の人が日本でライトノベルを出版できるような環境が整えられたら」と話していた。(毎日新聞デジタル)

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