注目映画紹介:「ジーン・ワルツ」 菅野美穂演じる産婦人科医が命の尊さを説くヒューマン作

「ジーン・ワルツ」の一場面 (C)2011「ジーン・ワルツ」製作委員会
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「ジーン・ワルツ」の一場面 (C)2011「ジーン・ワルツ」製作委員会

 「チーム・バチスタの栄光」などの著書で知られる現役医師・海堂尊さんによる小説を、菅野美穂さん主演で映画化した「ジーン・ワルツ」が5日、公開される。「約三十の嘘」(04年)や「NANA」シリーズ(05~06年)、「ラフ」(06年)などで知られる大谷健太郎監督がメガホンをとった。

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 大学病院の産婦人科医の曾根崎理恵(菅野さん)は診察・教鞭(きょうべん)をとりながら、閉院間近の産婦人科医院に出向き、がんで余命わずかの院長・三枝茉莉亜(浅丘ルリ子さん)に代わり患者を診ていた。産婦人科医院を訪れる患者は、中絶を希望する若い娘や、不妊治療の末にやっと子を授かった39歳の女性など、それぞれに事情を抱えた人たちばかり。そんな彼女たちを診察する理恵を通じて、命の尊さを説くヒューマン作だ。

 産婦人科医院を訪れる妊婦それぞれに見せ場があるが、中でも27歳の女性(白石美帆さん)のエピソードが、この物語における前半部のクライマックスとなる。ここで、感情の盛り上がりの第1波が押し寄せ、それがなだらかな曲線を描きながら終息しかけたとき、第2波が訪れる。その後半のクライマックスとなる出産シーンには、感動よりも驚きのほうが強いが、しかし、浅丘さんの演技は圧巻。彼女が話すせりふは、生命の誕生の素晴らしさを見事に言い当てている。

 不妊治療や代理母出産など倫理的な問題を扱いながらもエンターテインメント作品として描き切った大谷監督、脚本の林民夫さん(「ゴールデンスランバー」「フィッシュストーリー」などを担当)の手腕をたたえたい。その他の出演者に田辺誠一さん、大森南朋さん、南果歩さん、風吹ジュンさんら。5日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル) 

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