ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の携帯ゲーム機「プレイステーションポータブル(PSP)」が、400万本を売り上げた人気ゲーム「モンスターハンターポータブル3rd」のヒットに伴い、深刻な品薄状態に陥っている。昨年末からPSP本体が店頭に並ぶことはなくなり、ネット通販では倍近いプレミア価格で取引され、あまりの在庫不足から一部店舗では国内での保証が受けられない輸入品を取り扱う事態となっている。
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PSPは04年12月に発売され、世界で6420万台(10年9月末)を出荷した携帯ゲーム機。世界で1億3000万台以上を出荷しているライバル機「ニンテンドーDS」(任天堂)には水をあけられているが、日本国内では「モンスターハンターポータブル」(カプコン)シリーズなどゲームソフトのヒットなどで中高生を中心としたゲームファンの人気を集めており、1月には後継機「ネクストジェネレーション・ポータブル(NGP)」の発売も発表された。
品薄は昨年12月に発売され400万本以上を売り上げた「モンスターハンターポータブル3rd」(カプコン)の大ヒットが主な原因だが、「モンハンの予約がスタートした9月末あたりから兆しはあった」と複数の関係者は語る。10月ごろから発注数にカットがかかるようになったといい、「ゴッドイーターバースト」(バンダイナムコゲームス)、「タクティクスオウガ 運命の輪」(スクウェア・エニックス)などの発売とともに11月から加速したという。
そして「モンスターハンターポータブル3rd」が発売されると、PSP本体の売り上げも爆発的な伸びを見せ、店頭から本体が消えた。年末商戦期ということでSCEも増産体制をとり、10年12月の売り上げ台数は78万9000台(エンターブレイン調べ)と過去最高を更新したものの、アマゾンなどのネット通販サイトでも、価格の倍近い3万円以上の値段で取引され、1月に入っても品薄状態は改善されなかった。現在でも店頭にPSP本体はなく、2万円以上のプレミア価格がついている。
そんな中、一部店舗で並行輸入された海外版のPSP本体が売られるようになった。本体のメニュー上のボタン設定が異なり、国内で販売されている一部の映像ソフトが起動しないが、ゲームソフト自体は問題なく遊ぶことが可能だ。値段は国内版本体と同じ1万6800円から2万円程度。非正規品ということもあり、故障した場合は修理を頼むことができないのが最大のネックで、そのこともあってか売れ行きはさほどでもないようだ。
高まる需要に対応できなかったSCEの生産体制を批判する声も多いが、ある流通関係者は「(モンスターハンターポータブル)2ndGのころにもなかった大ブレークが3rdで来た。本体の需要がここまであるとはさすがにだれも想像できなかったはず」と語る。2月には「モンスターハンターポータブル3rd」とセットになった「新米ハンターズパック」や女性向けのポーチなどとセットの「バリュー・パック for Girls」も発売されるが、「3月に決算を控えて本体の在庫を抑えたいのでは」とうがった見方をする関係者も。SCE広報では、深刻な在庫不足を認めたうえで、「ご迷惑をおかけしている。現在、鋭意生産中で、市場に導入するべく進めている。(一刻も早く出せるよう)最善の努力はしたい」とコメントしている。(毎日新聞デジタル)
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