佐々木蔵之介:冒頭で安積撃たれる「実は立候補したんです」 連ドラ「ハンチョウ4」放送開始

「ハンチョウ4」の放送開始に当たって意気込みを語った安積役の佐々木蔵之介さん(中央)=TBS提供
1 / 1
「ハンチョウ4」の放送開始に当たって意気込みを語った安積役の佐々木蔵之介さん(中央)=TBS提供

 09年4月期に連続ドラマシリーズがスタートし、10年は1月期と7月期に放送された、佐々木蔵之介さん主演の刑事ドラマ「ハンチョウ~神南署安積班」(TBS系)のシリーズ第4弾「正義の代償」が、11日から放送を開始する。新シリーズは、佐々木さんが演じる主人公の安積剛志が大切にしてきた「心の交流」が通じない愉快犯などの都市型犯罪が多発、捜査の裏をかくハイレベルな知的容疑者が安積班を翻弄(ほんろう)する。さらに、前シリーズで安積班に立ちはだかった捜査1課の高野雄司警部(宇梶剛士さん)が再登場、安積班のメンバーに引き抜き工作を仕掛けるなど安積班をさらに悩ませる。初回は午後7時からの2時間スペシャルで、安積班長が凶弾に倒れる波乱の幕開けとなる。シリーズ4の開始にあたって、主演の佐々木蔵之介さんに聞いた。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 −−シリーズ4を迎えるにあたって感じたことは?

 シリーズ4を迎えられるのは、ひとえに応援してくださっている視聴者の皆さまのお陰です。心より感謝申し上げます。番組サイトのファンメッセージも読ませていただいていますが、本当に多くの方々に支えられている作品だということを、改めて感じています。これまでのシリーズを通して、日本中のあらゆるところ、たくさんの方々の日常の中に「ハンチョウ」が改めて存在できることにも感謝しています。今、「ハンチョウ」が帰ってこられたということ、そして俳優である僕自身の仕事の意味と真摯(しんし)に向き合っています。勇気、そして希望のある作品を作っていきたいです。

 −−シリーズ4では新たな展開があるのでしょうか。

 シリーズ1~3を通して、安積班のキーワードの一つとして“チームワーク”がありますが、このシリーズ4については、そのチームワークを解体させてしまうような“力”が働きます。その表れとして、僕が演じる安積が、第1話の冒頭で、何者かによって狙撃されるという、衝撃的なシーンが描かれています。また、村雨(中村俊介さん)を安積班から引き抜こうとする動きが見え隠れするなど、今まで培ってきた安積班のチームワークを揺るがす伏線が、シリーズを通してストーリーに織り込まれています。今までのシリーズになかった新しい描き方や試みなど、予想のつかない展開に、僕自身、楽しみながら撮影に臨んでいます。

 −−第1話の冒頭で安積が撃たれるという、衝撃にシーンについてはどう思いましたか。

 これは、橋本プロデューサーとシリーズ4の話をしたとき、安積班の危機の描き方について、「誰かが撃たれてしまうのはどうでしょうか?」と、僕が提案したんですね。で、「それじゃ、僕が撃たれましょうか」と、立候補したんです(笑い)。だけど、まさか急所の左胸を撃ち抜かれるとは考えてなかったので、現場でちょっとびっくりしました。この撃たれ方だと殉職の可能性もありますよね……。

 −−“正義の代償”というサブタイトルの意味合いはどうとらえればいいでしょうか。

 まず、第1話冒頭の衝撃的なシーンから物語が始まりますが、ラストシーンにも謎の人物から安積に向けて、予告メッセージが届くんですね。それは、どうやら安積のことを恨んでいる人物だと思われます。こういった伏線があった上で、シリーズ4に付けられた“正義の代償”という言葉が生きてくると思います。でも、謎の人物からのメッセージは、いつも安積の机の上に置かれているんですよね。これって、神南署内部の者が関係している!? もしかして桜井(山口翔悟さん)とか…(笑い)。

 −−シリーズ4の撮影現場の雰囲気はいかがでしょうか。

 シリーズ2と3は撮影が矢継ぎ早に続きましたが、シリーズ4は少し間が空いたことで、キャストとスタッフそれぞれが、「ハンチョウ」とはまた別の空気を吸ってきたところで、このシリーズ4の撮影に臨んでいると思います。シリーズ4がクランクインしたときは、「そうそうそう、ハンチョウの現場はこの感じ……」と、体が覚えている現場の感覚がよみがえってきましたが、その感覚もなじんでくると、新しいシリーズへ臨むに当たり、また新しい“何か”を加えていかなければいけないという気持ちになります。それは、言い換えると「佐々木蔵之介という役者は、このシリーズではどう出るのか?」と、試されているような感覚です。そういった中、このシリーズ4には、安積班の危機やシリーズ3で登場した宇梶剛士さんが演じられる高野警部の再登場などのスパイスが加わっています。チーム全体が、さらに困難なハードルへ挑戦するという気持ちに拍車がかかります。

 −−シリーズ4へ臨むに当たり、ご自身が設定するテーマなどはありますか。

 まずは、安積という男の気持ちというか人間性を、さらに強く出していきたいということでしょうか。容疑者や犯人、被害者などなど、それぞれの立場にそれぞれの事情があると思いますが、安積はそれぞれの事情に対して、すごく真摯に向き合う男だと思うんです。それを言い換えれば、安積が持っている優しさだと思います。そういった部分を、より強く出せるよう考えています。また、この度の震災で警察官の仕事というものを、改めて考えさせられました。警察官や消防士、レスキュー、自衛隊の方々などなど、それぞれのプロフェッショナルな方たちがそれぞれの仕事に、まさに命を懸けて従事してらっしゃる。また、その人たちを現場へと送り出すご家族の勇気と深い愛情。絶対にあきらめない強い意志やチームとしての結束力、そして、家族のきずななど多くを学びました。

 −−シリーズ4が電子書籍としてコミック化されますが……。

 原画を拝見させていただきましたが、まあ僕にソックリでしたね(笑い)。マンガなどの原作があって、その役を演じたことは過去にありましたが、自分の演じている役がマンガになるのは初めての経験です。ちょっと不思議な感じですが、カッコよく描いていただけてうれしいですね。あんまりカッコよ過ぎるのも、なんだかテレくさくはありますが(笑い)。本編ともども、マンガ「ハンチョウ」も楽しんでいただければうれしいですね。

 −−最後に、シリーズ4の見どころは?

 まずはやっぱり“安積班の危機”というところでしょうが、その描かれ方の中で、人と人とのつながりや思いやりといったものを大切に表現していきたいです。今、日本では想像を超えた現実が起こっています。でも、その中で、想像を超えたたくましさを人々が見せてくれています。この苦境の中でも、優しさや秩序を忘れず、人を思いやることの大切さを教えてくれています。未来や他者のことを考えることのできる、まさにこの無限の想像力こそが、人間の誇るべきものだと思います。僕は役者という仕事をし、今、皆さまになにかを感じていただける場に立たせていただいています。シリーズ4が始まるに当たり、安積剛志という刑事、「ハンチョウ」という作品を通して、改めて“人を思いやる大切さ”というものを、強く深く豊かに表現できるよう、そして日常の一歩を踏み出せる力となる作品になるよう、心を込めて演じていきたいと思います。

 <プロフィル>

 1968年2月4日生まれ、京都市出身。90年に劇団に入団し、98年に退団するまで、看板俳優として全作品に出演。00年、NHK連続テレビ小説「オードリー」に出演し注目を集める。その後、「白い巨塔」(03年)、「離婚弁護士」(04年)など多数のテレビドラマに出演。06年には映画「間宮兄弟」で映画初主演、08年には「ギラギラ」で連続ドラマ初主演。

マンガ 最新記事