「スラムダンク」などで知られるマンガ家の井上雄彦さんが浄土真宗の宗祖・親鸞を描いて話題となった屏風(びょうぶ)が、東本願寺(京都市下京区)大寝殿(おおしんでん)で公開され、平日で平均1000人超、1日で最大2800人が来場し、2時間待ちとなる人気となっている。第1弾の公開が終わる16、17の両日は、東日本大震災支援企画で、ポストカードやポスターを販売する。
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屏風は、高さ212センチ、横582センチの六曲一双。親鸞の生き様をテーマに、右隻(右側に配置した屏風)には、苦悩する民衆の中にいる親鸞。左隻には凜(りん)と座っている親鸞を描いた。真宗大谷派が親鸞の750回目御遠忌(ごえんき)を迎えるのを機に、同派が取り組んでいる現代アート事業として制作された。
同派の現代アート事業は、明治44(1911)年の650回御遠忌(ごえんき)には日本画家の竹内栖鳳、700回御遠忌には版画家の棟方志功という著名な芸術家に作品を依頼している。今回、若手僧侶から井上さんを起用する案が浮上。最初は「(売れっ子のマンガ家なので)敷居が高すぎる。受けてもらえるはずがない」との声もあったが、断られるのを覚悟で依頼したという。だが一方で、真宗大谷派は「井上さんに制作を断られていたら(企画の)代わりはありませんでした」という。
「最初は荷が重過ぎると思った」と言いながらも引き受けた井上さんは「真実を求めようとする人間・親鸞」を描こうと決め、今年1~2月、親鸞が修行をした比叡山や、「承元の法難(じょうげんのほうなん)」で流罪で送られた越後(新潟県)、関東地方など親鸞の足跡を追って構想を練り、3月上旬に執筆。10日に完成させた。「(親鸞は)自分から遠い存在で負けそうになる。そもそも自分が描いていいのか? そして(絵を)インパクトを重視する誘惑と戦った。ごまかしがきかない中で、ハッタリなしに(作品の前に)立てるかが自分に突きつけられた時間だった」と話している。
井上さんは「屏風全体を見るだけでなくて、一人ひとりの表情もぜひ見ていただきたい」と語り、真宗大谷派は、今後も屏風を一般に公開する予定。16、17の両日は、震災支援でポストカード(各200円)やポスター(各1200円)、額付きポスター(各7500円)を販売し、収益は寄付する。次回の公開は29日~5月18日、会場などの詳細が決まればホームページで告知するという。(毎日新聞デジタル)
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