堺雅人:役作りせず「引き出してもらった」 映画「日輪の遺産」会見

「日輪の遺産」完成報告記者会見に登場した(左から)佐々部清監督、浅田次郎さん、堺雅人さん、福士誠治さん、八千草薫さん
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「日輪の遺産」完成報告記者会見に登場した(左から)佐々部清監督、浅田次郎さん、堺雅人さん、福士誠治さん、八千草薫さん

 ベストセラー作家、浅田次郎さんの小説を堺雅人さん主演で映画化した「日輪の遺産」(佐々部清監督)の完成報告会見が19日、スペースFS汐留(東京都港区)で行われ、堺さんら出演者と佐々部監督、原作者の浅田さんが登場した。役作りについて、堺さんは「みなさんのお芝居が素敵で、ある時はあっけに取られ、時には嫉妬(しっと)し、感動し、おろおろしているうちに物語がどんどん進んだ。監督の世界観の中で遊ばせていただいた。こういう役作りをした訳ではなく、現場にいるだけで、知らず知らずいろんな方から真柴(役名)の顔を引き出していただけた」と共演者に感謝した。

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 「日輪の遺産」は、浅田さんが93年に発表した小説。太平洋戦争中、帝国陸軍がマッカーサーから奪取した財宝200兆円をめぐって軍の密命を守り抜いた将校と20人の少女たちの祖国復興を願った壮絶なドラマ。堺さんは陸軍参謀・真柴少佐を演じ、真柴と共に任務を遂行する小泉中尉を福士誠治さん、望月曹長を中村獅童さんが演じている。また、教師役はユースケ・サンタマリアさん、少女の現在を八千草薫さんが演じている。

 浅田さんは「売れなくて足踏みしている時期に、初めて編集者に『好きなように書いていい』と言われて書いたのがこの作品。映画にしていただいてありがたく思う」と喜び「正直言って、もしかしたらこの1本しか書けないもしれないから、これが書けたら死んでもいい、と当時思ったのは確かです」と作品への思い入れを語った。脚本を作り始めてから映画完成まで4年をかけたという佐々部監督は「やっと世に出せるところまでたどり着けたなあと今日はその思いでいっぱいです」と感無量の面持ちで語り、「この原作をいつ映画にできるか分からないのに作品を預けてくださった浅田先生に感謝したい。恩返しするには、たくさんの方に見ていただくことだと思う」と思いを込めて映画をアピールした。

 堺さんも「自分の中に把握しきれないくらいものすごく大きな物語に参加させていただいた。今でも消化しきれずにこの場に座っている次第です。見終わった後、演じた後、何か心の中にちょっと引っかかるものが残る作品だった。みなさんのご感想をお聞きしたい」と真剣な表情で思いを語った。映画は8月27日、角川シネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国ロードショー予定。(毎日新聞デジタル)

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