はじめの1巻:「もしドラ」 原作者・岩崎夏海氏が新たに書き下ろした“完全版”

岩崎夏海さん原作で椿あすさんがマンガを手がける「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(集英社)1巻の表紙
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岩崎夏海さん原作で椿あすさんがマンガを手がける「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(集英社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「スーパージャンプ」(集英社)で連載、「もしドラ」の愛称でベストセラーとなった岩崎夏海さんのビジネス本をマンガ化した岩崎さん原作、椿あすさんがマンガを手がける「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」です。

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 マンガは原作者の岩崎さんがシナリオを新たに書き下ろした。大学4年生の奥沢桃は、教授から「1年のうち一番本が売れる日があるというのをご存じですか?」と質問される。桃は直感で正解と理由を当てるが、本は読むためだけに買うわけではないという事実を知り、ドラッカーの著書に興味を持つ。そんな桃が本屋でアルバイトをしているところに、女子高生が「マネジメント、あるいはマネジャーについての本はありますか?」と訪ねてくる……というストーリー。

 ◇スーパージャンプ編集部の平塚修一さん 「小説にない構想やエピソードで完全版を目指す」

 最初に岩崎夏海さんのところにマンガ化の話を持って行った時は、まだ「もしドラ」は13万部ほどの売れ行きでした。その時、岩崎さんは「これは200万部売れる作品だから、その認識を共有できる人としか一緒に仕事はしない」と眼光鋭くおっしゃいまして、「もしやちょっと危ないお人なのかな……」とも一瞬思いましたが、マンガ化に非常に適した題材であること、内容の確かさと面白さに加えて、怖いもの見たさもあり、お話を進めることにしたのが1年ほど前のこと。結果としてはすでに268万部。先見の明は岩崎さんの方にありました。

 マンガ化に当たっては、単なる小説の焼き直しにはしないという点で意見が一致しまして、毎回、打ち合わせをして岩崎さん自らマンガ原作を書く、という作り方をしています。小説には入らなかった構想やエピソードなども、すでにこの1巻にも登場しますが、今後もっと増やしていく予定でいますのでご期待ください。また、椿あすさんの描く女の子がかわいいというのは、最初から分かっていたのですが、男の子たちの姿が想像以上に素晴らしく、こちらも必見です。大ヒット作のコミカライズということでダイジェスト版を想像する方もいらっしゃると思いますが、どちらかといえば完全版を目指すマンガです。末永いご愛読をよろしくお願い致します!

 ◇書店員の推薦文 南海ブックスの岡本美紀さん 「何か成し遂げたい目標がある人に」

 病に倒れた友達の夢をかなえるため、甲子園を目指すことになった(主人公の川島)みなみ。甲子園を目指す上で「勝負へのこだわりが低い部員」「監督と部員の確執」など、解決しなければならない問題点が明らかになっていく。

 小学生のころに野球をやっていたみなみは、大事な試合で空振りをして相手投手を油断させるという、目的を遂げるための思考と実行力を無意識ながら持っている。これが、ドラッカーの説く「真摯(しんし)さ」につながっているように思う。経営だけでなく、何か成し遂げたい目標がある人に、問題と向き合う方法を教えてくれる。

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