浅野忠信:「マイティ・ソー」でハリウッド進出 下 米国人の祖父に導かれ…

「米国人の祖父に呼ばれた」と今作との不思議な縁について語る浅野忠信さん
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「米国人の祖父に呼ばれた」と今作との不思議な縁について語る浅野忠信さん

 「アイアンマン」をはじめとする大ヒットシリーズを生み出してきたマーベル・スタジオズによる映画「マイティ・ソー」が2日、封切られた。神の国アスガルドでの傍若無人な振る舞いから、父王によって地球に追放された男ソー。彼を護衛する“三銃士”の一人、ホーガンを浅野忠信さんが演じているが、彼がソーを追って地球に降り立つ場面で見せるチャーミングな表情が印象的だ。撮影はニューメキシコ州で、浅野さんいわく「完璧に」作られたセットの中で行われた。浅野さんにとってもこのシーンは印象深かったそうで、「ホーガンとしては、ここはどこだ、ソーはどこにいるんだというちょっとした遠足気分もあったし、僕もセットを見物している一般のお客さんみたいな感じでいられました」と打ち明ける。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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 浅野さんはハリウッド映画ならではのスケールの大きさにも圧倒されたという。コスチューム一つとっても、カメラが寄ったときの硬い素材のもの、アクション用の動きやすいものなどさまざまなバージョンが用意してあり、武器も用途に応じ、ホーガンのものだけで十数本用意された。

 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が大好きで、「誰が見ても面白い作品に出たいという思い」を抱き続けてきた浅野さんにとって、ハリウッド映画への出演は念願だった。だがそれ以上に浅野さんにハリウッドを目指させたもの……それは、母方のネーティブアメリカンの祖父に「会ってみたい」という強い思いだった。

 祖母と日本で結婚してまもなく米国に帰国し、長いこと音信不通だった元軍人の祖父。探偵に捜索を依頼しても情報不足と断られた。ところがここにきて不思議な巡り合わせが作用した。浅野さんが今回、元軍人の英語の先生にその話をすると、軍人ならではの情報網ですぐに見つけてくれたという。

 残念ながら祖父はすでに他界していたが、またしても不思議な巡り合わせが作用した。今回の共演者で、三銃士の一人、ファンドラルを演じたジョシュア・ダラスさんに祖父の墓の在りかを話すと、偶然にもダラスさんが通っていた高校の目の前にあることが判明。翌日には、ダラスさんの母親を介して、祖父の墓の写真がメールで送られてきたという。浅野さんもこのときばかりは、「(祖父に)完全に呼ばれたと思った」と明かす。かくして、撮影の合間に墓参りもでき、その意味でも今作の存在は大きいと話す。

 「まだまだ祖父のことを考えていますし、その(自分の中に流れる米国人の)血が、今後どう米国で作用するのか気になっています。これをスタートに、これからも祖父に見てもらえるように頑張っていきたいです」とさらなる意欲を燃やしていた。

 <プロフィル>

 1973年横浜市生まれ。タレントのマネジャーをしていた父親の勧めで14歳のときにドラマ「3年B組金八先生」に出演。その後、90年に「バタアシ金魚」で映画デビュー。以来、数々の作品に出演。その演技の奥行きの深さから演技派として知られ、代表作に、「ねじ式」(98年)、「地雷を踏んだらサヨウナラ」(99年)、「殺し屋1」(01年)、「劔岳 点の記」(08年)などがある。03年には「地球で最後の二人」がベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門で主演男優賞を獲得したほか、07年の主演映画「モンゴル」は米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。また「トーリ」(04年)やオムニバス「R246 STORY」(08年)の1編では監督も務めた。 

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