10年10月期にMBS・TBS系で放送し、深夜枠ながらも反響が大きかった連続ドラマの問題作「闇金ウシジマくん」が映画化され、12年に公開されることが4日、明らかになった。ドラマに続いて主演を務める山田孝之さん(27)は、「ドラマのときとはまったく違う空気感なので、また興味深く楽しんでもらえると思います。映画ならではのシーンもあるし、いろいろなストーリーの登場人物を融合させてキャラクターを作っているので、あのキャラとこのキャラを足したのかなという見方も面白いはずです」とコメントしている。
ウナギノボリ
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「闇金ウシジマくん」は、真鍋昌平さんが04年から「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載、累計400万部を発行しているマンガが原作。10年に第56回小学館漫画賞を受賞した。山田さん演じる丑嶋馨は、トゴ(10日で5割)という違法な高金利で金を貸す闇金「カウカウ・ファイナンス」の社長で、頭脳明晰(めいせき)、冷静沈着、卓越した判断力と実行力で部下たちを統率。他の金融会社から融資を断られた不良債務者たちを容赦なく追い込みながら、“後がない”債務者たちの新たな活力を目覚めさせるという人物。ドラマでは、自意識過剰なマンガ家志望のフリーターやパチンコ依存症の主婦ら債務者たちが、安易に債務を重ね、やがて転落していく姿をリアルに描いた。
今回の映画化にあたって、数々のヒットドラマをプロデュースしてきた山口雅俊さんが初めて映画監督に挑む。ドラマの設定を加え、徹底的な取材でリアリティーあふれる闇社会を映画ならではの手法で映し出す。
主演の山田さんは7月に開催された「第10回ニューヨーク・アジア映画祭」で最も活躍が目覚ましい注目のアジア人俳優として、日本人で初めて「第3回ライジング・スター・アワード」を受賞。また、米国の週刊誌「エンターテインメント・ウィークリー」10年10月号で唯一の日本人として「世界が注目する10人の俳優」に選ばれた。
山田さんは映画の撮影開始時に「ウシジマを演じるのはけっこう大変なので、クランクインのときは不安ばかりでした。一番不安だったのは、山口監督が『ウシジマくん』を寅さん(「男はつらいよ」)みたいにずっとシリーズ化していくんじゃないかということ。マンガの『ウシジマくん』はショートストーリーの連続なので、続けようと思えばいつまでも続けられるんです。みんな少しずつ老けていきながら。今からそれを恐れています(笑い)」とおののきながらも映画への意欲を見せている。
映画では貧富の格差、教育格差、モラルの崩壊、日本的価値観の喪失など、現代の日本社会に対して皮肉を込め、繊細かつ過激に表現。そこに「混乱の現代社会で強く生きろ」というメッセージも込められる。山田さん以外のキャストは今後随時発表していく。映画は12年に全国で公開。(毎日新聞デジタル)
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