はじめの1巻:「ザッドランナー」 仏発祥のスポーツをマシン競技としてマンガ化 ポテチと小梅の恋も見どころ

カサハラテツローさんのマンガ「ザッドランナー」(新潮社)1巻の表紙
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カサハラテツローさんのマンガ「ザッドランナー」(新潮社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「月刊コミック@バンチ」(新潮社)で連載、アニメ化された「RIDEBACK(ライドバック)」を手掛けたカサハラテツローさんが、マシンを使った架空のエクストリームスポーツ「XAD(ザッド)」を描いたマンガ「ザッドランナー」です。

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 高校1年のポテチは、ザッド部に入部し、その面白さの虜になっていた。デビュー戦となる7月の大会に出場するため、パートナーで友人のマッキーと練習に励んでいたが、マッキーが骨折してしまい、大会出場をあきらめざるを得ない状況になってしまう。落ち込むポテチだが、ザッドに必要な天性のセンスと度胸を持つ女子高生・飴園小梅と出会い、勢いで「パートナーになってくれ」と申し入れる。しかし、小梅は素行不良で有名な女生徒だった……という物語。

 ◇編集部からのメッセージ 月刊コミック@バンチ編集部 折田安彦さん 「メカとラブコメをバランス良く」

 みなさん、「パルクール」って知ってます? 仏発祥のスポーツで、特別な器具を使わずに、都市、郊外のあらゆる環境を利用しながら、「走る」「登る」「跳ぶ」などの動作を行う競技です。これを、“メカ”に置き換えてマンガ化したい、と聞いたとき「??」と想像できなかったのですが、メカのデザインがギッシリ描かれた企画書を見て「おおお!」と感動したのを覚えています。メカの素材や動力源など、ヘルメット一つとっても考えに考え抜かれていて驚きました。なんとメカの模型の自作までされてます。すごいこだわり!

 この作品のいい所は、それだけのメカの設定、競技の設定がありながらそこに寄らず、主人公のポテチ、ヒロイン小梅による、じらしまくりのラブコメディーをじっくり描いてることです。メカと恋愛、この二つをバランス良く配置して、誰もが共感できる甘酸っぱさを引き出せているのではないかと思います。そう、このマンガの目標は「読後感爽やかな、まじり気なしの青春ストーリーを作る!」なのです! とはいえ、今後はマシン・スポーツの要素もグッと増していきます。恋愛要素と果たしてどのように絡んでいくのか……ますます目を離せない展開を約束します!

 ◇書店員の推薦文 青森・伊吉書院類家店の中村深雪さん 「ザッドに乗ってみたい」

 マンガの中のマシンに自分が乗ってみたいと思うことは今まであまりなかったのですが、ザッドには乗ってみたいですね! 動きがとても爽快で、なめらかな形もすてきです。そしてこのマンガのもう一つの見どころは間違いなく小梅! 乱暴者で面倒そうな女の子という第一印象でしたが、実は恋愛ごとにうぶな小梅は、同性から見ても可愛らしい存在です。これから明らかになっていく小梅の暮らしの背景や、ポテチとの間に生まれている誤解が2人の関係にどう作用するのか、続きがとても気になります。

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