6日に公開された映画「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ!」(川村泰祐子監督)。香取慎吾さん演じる主人公・両津勘吉の初恋の相手・桃子を演じた女優の深田恭子さんとテレビ版でもおなじみの両津の上司・大原大次郎巡査部長を演じた俳優の伊武雅刀さんに「こち亀」の魅力について聞いた。(毎日新聞デジタル)
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映画は、秋本治さんが「週刊少年ジャンプ」(集英社)で76年から連載し、一度も休載せず「少年誌の最長連載記録」としてギネス記録を保持しているギャグマンガ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が原作。TBS系で09年8月から香取さん主演でドラマ化され、ビートたけしさんや加山雄三さん、木村拓哉さんら毎回豪華ゲストが出演することで話題を集めた。
葛飾区亀有公園前の派出所に勤務する警察官・両津勘吉(香取さん)は、豪快で型破り、やることなすことハチャメチャで、上司の大原部長(伊武さん)にカミナリを落とされてばかり。同じ派出所勤務の後輩で、パリ生まれの秋本カトリーヌ麗子(香里奈さん)や、大財閥の息子・中川圭一(速水もこみちさん)らはハラハラし通しの毎日を送っている……。映画では、両津が小学生時代のあこがれの同級生・桃子(深田さん)に偶然再会。シングルマザーの桃子にひかれた両津は、「警察やめて桃子と一緒になる!」とたんかを切るが、そのころ警察庁長官の孫娘が誘拐される事件が発生し……というストーリー。
−−映画への出演が決まったときのお気持ちについて教えてください。
深田さん 小さいときから「こち亀」のマンガを読んだことがあって、身近に感じていたので出演することができてすごくうれしかったです。
伊武さん また(大原を)やれるのかと思うと幸せでございました(笑い)。
−−深田さんはシングルマザーで旅芸人一座の女座長という役どころですが、役作りはどんなふうにやっていったのでしょうか。
深田さん 女ねずみ小僧を演じるシーンがあったので、先生について殺陣の練習をしました。(特訓の期間は)3日間だったのですごく大変でしたね。難しいですね、座長っていう役を演じるとその人の何十年も築き上げてきたものを自分が一瞬で演じなければいけないって申し訳ないような気がして。自分にできる限りの頑張りはしたんですが、なかなかできるものではないですね。
伊武さん 真逆なんだよね、俺たちの普通の芝居と。(大衆演劇は)いわゆるデフォルメした感じ、自然に見えるっていうのではない詰まった感じの芝居。だから(深田さんは)大変だったと思うよ。一方、私は深田恭子演じる女ねずみ小僧を見学している立場でございます(笑い)。
−−伊武さんの大原部長はコミカルな役でしたよね?
伊武さん 本人はそういうつもりじゃないんですよ。真剣に怒ったり、真剣に驚いたり、泣いたり笑ったり。結局笑いの本質って、笑わせようとすることより真剣に人間が何かやっていることが滑稽(こっけい)に見えるということだから。だからコミカルに演じているつもりはなくて。怒鳴れば怒鳴るほど面白いってことあるじゃない。「両津~!!」って。
−−伊武さんにとって大原部長の役ってどういうものですか?
伊武さん 怒る大人とか、ちゃんとしたことをまっとうに「それはいけないことだ」とかそういうことを言う大人が少なくなっている時代に両津は息子みたいな感じでね。でも両津の良さっていうのも分かっていて、まっすぐに純粋に人と人との会話とかね、本音でぶつかっていく。両津の良さも分かっていて、だけれど「ここは理不尽だな」ってときは本気で怒る。今ってそういう時代ではないですから。昔は年上が年下に対して「お前のこれはいけないことだ」ってちゃんと言った時代だったから。両津に対する大原っていう立場で演技で体現できている分、気持ちよく演じているんですよ。
−−深田さんは川村監督からはどんな演出を受けたんですか?
深田さん 私の演じる沢村桃子は座長もしているし、サバサバした女性なのでなるべくサバサバしてくださいと言われました。
−−現場はどんな感じだったんですか?
深田さん すごくハードなスケジュールの中、天気も雪が降ったりとかすごく寒い時期で。でも全然寒さを感じさせないような温かい映画に仕上がりましたね。
−−深田さんは両さんのような男性についてどう思われますか?
深田さん 本当にみんなのことを考えて男らしい。みんなの街にいてほしいってのはありますし、“お父さん”としても(桃子の娘の)ユイちゃんを元気付けてあげたりとか、本当にすてきな男の人なんじゃないかなって思います。
−−深田さんは、谷原章介さん演じる元夫の光男と両さんとどちらがタイプですか?
深田さん 私は犯罪者よりお巡りさんの方が……(笑い)。
−−お二人から作品の見どころをファンの方にお願いします。
深田さん 両さんがとにかくすてきで、もともと「こち亀」ファンの方もいらっしゃると思うんですけれど、マンガの両さんとは違うというか、もっと女の人も受け入れやすい両さんです。マンガの方の両さんはギャンブラーというかもっと男っぽいイメージだったんですけれど、香取さんが演じることによってもっと魅力的になっているのが、新しい「こち亀」だなという衝撃的な感動があったので、たくさんの人にご覧いただければと思います。
伊武さん 家にいると暑いですから、映画館は涼しいし、節電にもなるし、映画館に足を運んでいただけたらと思います。この映画を見て元気になるというか、気持ちよくなる、みんなに元気をもらいに来てもらったらいいな。悪い人は一人も出ていない。それがいいんじゃないですかね。
−−最後に初めてハマったポップカルチャーを教えてください。
伊武さん マンガ雑誌「ぼくら」や「少年」に夢中になりました。手塚治虫がとにかくすごかった。『鉄人28号』や『鉄腕アトム』に夢中でしたね。
深田さん ポップカルチャーではないんですが、自転車ですね。初めて自分でできるようになりたいと思ったのは自転車かな。“リカちゃん自転車”に乗っていました。
<プロフィル>
深田恭子(ふかだ・きょうこ) 1982年11月2日生まれ。東京都出身。96年、第21回タレント・スカウト・キャラバングランプリを受賞。映画「下妻物語」(04年・中島哲也監督)では日本アカデミー賞優秀主演女優賞をはじめ多数の映画賞を受賞。テレビドラマ、映画のほか、CM等でも活躍。近年の主な映画出演作に、「犬神家の一族」(06年・市川崑監督)、「ヤッターマン」(09年・三池崇史監督)、「ウルルの森の物語」(09年・長沼誠監督)、「恋愛戯曲~私と恋におちてください。~」(10年・鴻上尚史監督)がある。11年は本作のほか、声優を務めた「豆富小僧」(河原真明監督)、「夜明けの街で」(若松節朗監督)が公開。
伊武雅刀(いぶ・まさとう) 1949年3月28日生まれ。東京都出身。数々のテレビドラマ、映画に出演するほかナレーターとしても活躍。主な出演作品は「太陽の帝国」(87年・スティーブン・スピルバーグ監督)、「カンゾー先生」(98年・今村昌平監督)、「突入せよ!『あさま山荘』事件」(02年・原田眞人監督)、「ゆれる」(06年・西川美和監督)、「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(09年・根岸吉太郎監督)、「桜田門外ノ変」(10年・佐藤純彌監督)、「最後の忠臣蔵」(10年・杉田成道監督)がある。11年は本作のほか「津軽百年食堂」(大森一樹監督)、「さや侍」(松本人志監督)、「僕達急行 A列車で行こう」(森田芳光監督)がある。
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