ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題の小説の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、システムエンジニア(SE)の主人公と、思わぬ秘密を持つ年下の女性上司との日々を描いたラブコメディー「不思議系上司の攻略法」(水沢あきと著、双画)です。アスキー・メディアワークス第2編集部の和田敦さん、土屋智之さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
著者の水沢先生と一緒にこの作品を立ち上げるにあたって最初に念頭にあったのは、「『出会い』は学生だけのものじゃない」ということでした。学生時代の甘酸っぱい「出会い」も魅力的ですが、普段忙しい社会人にこそ、すてきな女性との「出会い」の物語が癒やしとして必要なのでは……と。主人公であるくたびれたSEの青年・梶原健二は仕事を始めて3年目。マンネリと惰性になりつつあった仕事と生活が、当然現れた年下の女性上司・石峰真夜−−しかも仕事の付き合いで行ったメイド喫茶の店員さんそっくり!?−−によってひっくり返される。まったくありえないけどちょっとだけありそうで、なにより「あったらいいな」と思えるような特別な「出会い」と、そしてそこからスタートする仕事とプライベートの両面で2人が力を合わせていく日々。それが本作の最大の魅力であると思います。
−−作品が生まれたきっかけは?
著者の水沢さんが社会人経験があり、いわゆるSEの業界にも明るかったことと、一度弊社の電撃文庫で書かれた作品が、ラブコメの要素が強かったことですね。担当である我々の側でも電撃文庫の一つ上の層(大学生~20代の社会人)にアピールできるラブストーリーを打ち出せないか、とずっと考えていたところでして、相談の上、方向性が一致しました。「生まれたきっかけ」というよりは「条件がそろってできた化学反応」といったほうが正しいかもしれません。
そして、メディアワークス文庫の読者の皆様の方が、仕事での悩みや日々の過ごし方など、共感できる部分も多いかと思いまして、電撃文庫ではなく、メディアワークス文庫で出版しました。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか。
水沢先生は非常にきまじめかつ気さくな方で、我々も非常に楽しく作品作りにかかわらせていただいてます。上記の通り、実体験の部分もふまえて書いていただけているので「現場の空気感」の演出が秀逸ですね。でも、シビアな現場事情を執筆されているときは、己の身に起こったことを思い出してか、非常に胃をキリキリさせながら書かれているそうですけど(汗)。
イラストの双先生は「ピュアな女性」を美麗に描き出してくださる方と思いまして、この度お声をお掛けしました。ヒロインのイラストを表紙にする上で必須だったのは、前に述べました「くたびれた」人にとってのオアシスになれるような雰囲気の、やさしさを兼ね備えた女性の絵であることでしたので、双先生のイラストはそこに奇麗にハマったという感じです。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
興奮するというか、楽しいのはやはり、いかにヒロインの石峰さんと梶原くんがドキドキできるような状況に持っていくかを、考察しながら打ち合わせるところですかね。担当編集2人と水沢先生でわいわいやってます。いや……我々にも出会いがないからとか……決してそういうことではなく……(汗)。
逆に一番大変なのは……編集者は微妙に一般の社会人と性質が違う職業なので、そのあたりどうしても若干の感覚のズレがあることでしょうか。業界の状況や、細かいノウハウ、SEの専門知識はどうしても我々は分からない部分なので、そのあたりは水沢先生の筆にかなり助けられております。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
衝撃的な「出会い」から始まった1巻、付かず離れずの微妙なヤキモキ感が魅力だった2巻に続きまして、次のお話は石峰真夜さんのお兄さんが登場します。どうやらこのお兄さんの経営する会社で問題が起こっているらしく、そこに2人が特別にヘルプとして向かうことになるのですが……当然ながら可愛い妹の隣に男がいれば、お兄さんとしてはいろいろ思うところがあるわけでして(笑い)。お約束のドキドキと、想定外のトラブルが次巻も巻き起こります! ご期待ください!
アスキー・メディアワークス 第2編集部 和田敦/土屋智之
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