東京・原宿の向かい合うショーウインドーの中でスマートフォンを片手に通話をしながら演劇をする“ショーウィンドウ通話劇”に女優の安藤サクラさんと俳優の水橋研二さんが25日挑戦した。一方のショーウィンドーに安藤さんを、そしてもう一方に水橋さんを配置し、スマートフォン向けアプリ「050 plus」を使い、2人が通話をしながら芝居を行う新しいスタイルの演劇に街を行き交う人は何事かと足を止め、芝居に見入っていた。
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「050 plus Presents LINK YOUR VOICE ~ショーウインドウ通話劇」と題された今回の演劇は、NTTコミュニケーションズが「050 plus」を使って、ショーウインドーの中で芝居を行うという企画を発案。小説家や劇作家として活躍する本谷有希子さんにオファーしたところ、快諾し、本谷さんの作・演出で実現した。明治通りに向かい合うファッションブランド店舗「コレクトポイント原宿店」(東京都渋谷区)と「ヒロミチ・バイ・ヒロミチナカノ原宿店」(同)の2カ所のショーウインドーで同時上演された。
物語は、ハマケン(水橋さん)とアルバイト先の先輩の彼女・マイコ(安藤さん)の電話での会話劇。とある理由で落ち込んでいるマイコは、ハマケンに電話して慰めてもらおうとする。最初はその電話がうっとうしく適当に会話を返すハマケンだが、次第に言い合いに発展。自分の心の内を見せ合ううちに2人の関係が変化していく……というストーリー。前編15分、後編15分の2部構成で、相手の姿が見えない電話での会話という設定をうまく生かし、時にコミカルに、時にシリアスに、そして恋愛要素を含めながら2人の掛け合いを描いている。
本谷さんは、今回の“通話劇”にチャレンジした理由を「最初に無理だなと思ったから逆にやりたくなってきたんです」と笑顔で振り返り、「通話ならではの劇にしたかった。考え出した結果、通話の内容はドラマチックなんだけど、実際、一人一人の部屋の実態を見ると、ものすごいかけ離れているというギャップを出せたら」と作品について語っていた。
今回の“通話劇”に関して、最初はどういう形の劇になるか想像つかなかったという水橋さんは、「今日になってやっとわかった感じです(笑い)。最初の受けた印象よりは楽しくなった。すごい近くにお客さんがいるんだけど、ショーウインドーのガラスで区切られている感がすごいですね」と振り返り、安藤さんは「ちゃんとやらないとさらし者になるなと。どんなものになるか、今日の今日まで不安でストレスでしたが、舞台よりも開放的で、それより(ショーウインドーの)空間が自分だけのものになっているし、結構おもしろかった」と笑顔で答えた。
NTTコミュニケーションズは、2カ所で同時上演された劇の模様を完全版として映像化し、11月4日に特設サイトにて公開する予定。
「050 plus」は、同社が展開するスマートフォン向けアプリ(iPhone、アンドロイド、PC対応)で、スマートフォン上で050から始まるIP電話を利用することができるほか、「050 plus」同士なら通話は無料になる。月額基本料は315円。(毎日新聞デジタル)