女優の本仮屋ユイカさんが初めて出演する舞台「パレード」が16日、天王洲銀河劇場(東京都品川区)で初日を迎える。舞台への出演が決まって「とてもうれしい」と喜ぶ本仮屋さんは、無職で若手人気俳優と“自称熱愛中”という琴美を演じる。初舞台への意気込みを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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舞台「パレード」は、東京都内のマンションでルームシェアをする男女の若者たちを描き、“衝撃作”と評された吉田修一さんの小説が原作。同作の映画化を手がけた行定勲監督が演出する。
以前から舞台へのあこがれがあったという本仮屋さん。「舞台をやった人は、自分がイメージする世界に居続ける力が強い。決まった時間に幕が開いて、何があってもやり通さなければいけないという中で、演技している人たちが持つ、特別な集中の仕方だと思うんです。それを見て、私もそういうふうになりたいと思った」と語る。特に高校時代、自身の親友役だった舞台出身の俳優の力を目の当たりにし、「その強さは自分にないものだった」とあこがれを強くしたという。そして舞台を経験した「その先の自分に早く出会いたい」と目を輝かせる。
さらに「生まれた感情とか、表現をその場ですぐお客さんと一体化して体感できる。自分がやったことに対して、目の前で拍手をもらえるその幸せっていうのを、私もいつか感じてみたいなって思っていた」と初舞台への期待はふくらんでいる。
とはいえ、戸惑いもあるようで「(けいこ用の)ジャージーってどんなのを着たらいいのかしら?とか、何を持って行けばいいの?とか、本当に初歩的な感じなんです」と照れ笑い。また台本を初めて受け取った際、映画やテレビドラマ以上の重さで「びっくりしました」といい、「ある1カ所の盛り上がりに向けてずっと積み重ねている時間がせりふとして書いてあるっていうのは……不安です」と本音をかいま見せた。
今回演じる琴美は「彼女は(自称恋人の)丸山君と私(琴美)だけの世界の中で他者と関わって、ずっと自分の時間軸の中で生きている子。そこは自分と違う」と説明。一方で「“自称熱愛中”っていっちゃうぐらいの盲目さは自分にもある気がする」とし、「私も苦しむ方に(自分を)追い込むタイプ」と明かす。「私の場合は(苦しみの)その先にいい作品ができるとか、お芝居がうまくいくとか、ゴールがあって苦しみを率先して取る場合があるけど、彼女の場合は苦しみ自体がゴールになっている。似ているようで違うかなという感じです」と話した。そして「けいこしていく中で“琴美ちゃんワールド”の時間軸で生きることに慣らしたい」と意気込んでいる。
舞台について「台本がすごく面白かったんです。(映画化で)落ちていた原作にあるエピソードやいい要素が舞台にはたくさん反映されていて、映画の要素も舞台だからできるという描き方がされている。『なぜパレードを舞台化?』という(疑問の)はてなに答えられる作品になるんじゃないかなと思っています」とアピールしている。
次回は、本仮屋さんのプライベートについて聞く。
<プロフィル>
もとかりや・ゆいか。87年9月8日生まれ。東京都出身。01年ドラマ「3年B組金八先生」第6シリーズ(TBS系)に出演。04年の映画「スウィングガールズ」(矢口史靖監督)で注目を集め、05年のNHK連続テレビ小説「ファイト」でヒロインを演じた。11年は出演した映画「ワイルド7」(羽住英一郎監督)が公開されたほか、写真集「air」を発売。また3月からNHKクラシックガイドでナビゲーターを務め、10月から初のラジオレギュラー番組「本仮屋ユイカ 笑顔のココロエ」(ニッポン放送)をスタートさせた。12年春に映画「僕等がいた」(三木孝浩監督)の公開が控えている。
原作は、02年に山本周五郎賞を受賞した小説。映画は10年2月に公開され、第60回ベルリン国際映画祭でパノラマ部門国際批評家連盟賞を受賞。ほかに第4回アジア・フィルム・アワードでベストフィルムにノミネート、第14回釜山国際映画祭招待作品になるなど注目された。舞台は、脚本を舞台版「世界の中心で、愛をさけぶ」などを手がけた蓬莱竜太さんが担当。ルームシェアをする4人の男女、良介、琴美、未来、直輝の元に、新たにサトルがやってきた。そのころ、近所では連続暴行事件が起こりはじめ、4人が抱えていた問題が徐々に露呈し始める……という物語。山本裕典さん、原田夏希さん、竹内寿さん、福士誠治さんが出演する。天王洲銀河劇場(東京都品川区)で16~29日、シアター・ドラマシティ(大阪市北区)で2月4、5日に上演。WOWOWライブで2月18日午後9時から放送される。