草刈民代:ミュージカル初出演「なんでもやってみたい」 「9時から5時まで」

初めてのミュージカル「ザ・ミュージカル9時から5時まで」について語った草刈民代さん
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初めてのミュージカル「ザ・ミュージカル9時から5時まで」について語った草刈民代さん

 元バレエダンサーで女優の草刈民代さん(46)が初めてミュージカルに挑戦する「ザ・ミュージカル9時から5時まで」が9日から「天王洲 銀河劇場」(東京都品川区)で上演される。大企業に勤める3人の女性会社員が、パワハラを繰り返す男性上司に復讐(ふくしゅう)するさまを奇想天外に描いたコメディーで、草刈さんは、やり手だが“パワハラ上司”にいつも手柄を横取りされてしまうバイオレットを演じる。今作で歌に初挑戦した草刈さんにダンスや歌、作品の見どころを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「9時から5時まで」は、80年に公開された米映画をシンガー・ソングライターで女優のドリー・バートンさんが作詞・作曲してミュージカル化し、ブロードウェーで上演した作品。09年にトニー賞で4部門にノミネートされている。日本で上演されるのは今回が初めてで、草刈さん演じるバイオレットと共に復讐に燃える女性会社員のジュディーを元宝塚歌劇団トップスターの紫吹淳さん(43)、ドラリーをお笑いタレントの友近さん(38)が演じ、上司のハートを石井一孝さん(44)が演じる。

 初めてのミュージカル、そして芝居でコメディーを演じるのも初めてだが、バレエでコメディー要素のある作品が「得意だった」というだけあって不安はない。草刈さんは、自身のダンサー人生で「演じるスタイル、核になるものを学んだ」という仏バレエダンサーで振付家の故ローラン・プティさんが振り付けたバレエ「こうもり」などに出演しており、「コメディーですごく楽しい作品。歌はないけど、米国のミュージカル風な感じでフランスのエスプリを利かせてある。そういう作品を踊ることで(コミカルな演技を)身につけました。初めのうちは猛特訓されましたけどね」と振り返る。

 歌のレッスンは初めてで今年1月からスタートしたが、ボイストレーニングは09年にダンサーを引退してすぐに始めていた。今作のオファーを受けた際、これまでに発声の先生から「歌も大丈夫」と太鼓判を押されていたこともあり「やりたい!って感じで飛びついた」という。「先生に大丈夫と言われていたのをうのみにして大丈夫だろうって(笑い)。我に返るとすごいこと決めちゃったなって思う時もあるんですけど、歌って踊って、毎日楽しく歌っています」と満面の笑みを見せ、「踊りがあると今までの経験が生かせる。音楽に乗って表現するのは、私にとって一番楽しいし、本領を発揮できることなので、ミュージカルは自分がやっていていいんじゃないかな」と語る。

 今作で演じるバイオレットは夫に先立たれ、子供を抱える女性会社員。「映画『Shall we ダンス?』で私のことを想像してくださる人が多いですが、それとは全く別人。コミカルに演じる場面も多いです」という。強い女性を演じることが多い紫吹さんが夫の浮気が原因で離婚した専業主婦で初めて会社勤めをするという役どころ、お笑いの友近さんがセクシーな容姿で上司にセクハラを受ける役どころを演じることから、「3人とも、いつもみなさんが想像なさっている姿と全部違う気がします。(なかでも)友近さんはお笑いではなく女優。3人の個性でいろんな見せ場がある」と期待を持たせる。

 女性が男性に復讐を仕掛けるという女性好みの物語に思えるが、草刈さんは「3人の女性が主役だから男性がたくさん見に来てくださってもいいんじゃないかな」とジョークを交えながら、「抑圧された人たちが、もっと自分たちの力を発揮して、より個性的に生きていこうというメッセージでもある。男性女性問わず、見ると気分が晴れて前向きになれる」と見どころを語った。また詞や曲についても「内容が深い。深いのと前向きさが楽曲によってさまざまな形で表現されているので、質の高い作品」と自信を見せている。

 女優に転身して3年弱。この短期間に大河ドラマ、舞台、映画、ミュージカルと精力的に新しい活動を続けてきた。そんな自分について草刈さんは「エネルギーが有り余っているだけ。なにかやってないとつまらない」と笑う。「踊りは(自分を)追い込まないと、(現状以上の)その先がない。それが顕著にでる世界。そういうところでずっとやってきたので、なにもしないのに耐えられなくて」と語り、「まだエネルギーが余ってるので、なんでもやってみたいなって思います」と少女のように目を輝かせていた。

 ◇プロフィル

 くさかり・たみよ。65年5月10日生まれ。東京都出身。バレエダンサーとして活躍中の96年に映画「Shall we ダンス?」(周防正行監督)で映画に初出演し、同作で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などを受賞した。09年4月にダンサーを引退して女優に転身。10年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」で龍馬の母役を演じ、ドラマデビューを果たす。10年に舞台「Believer/ビリーバー」に出演、11年は主演映画「ダンシング・チャップリン」が公開された。12年秋には、俳優の役所広司さんと「Shall we ダンス?」以来16年ぶりに共演する周防監督の最新作が公開される予定。ミュージカル「ザ・ミュージカル9時から5時まで」は「天王洲 銀河劇場」で9~18日に上演。その後、金沢、大阪、高知、名古屋、越前(福井県)、長崎、熊本、徳島、松山、岡山、広島の各市でも上演する。

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