はじめの1巻:「ハイスコアガール」 ゲーマー少年の懐ゲーコメディー

押切蓮介さんのマンガ「ハイスコアガール」(スクウェア・エニックス)1巻の表紙
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押切蓮介さんのマンガ「ハイスコアガール」(スクウェア・エニックス)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「月刊ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)で連載、ゲームに熱中する一昔前の子供たちの日常をコミカルに描いた押切蓮介さんのマンガ「ハイスコアガール」です。

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 91年、勉強や運動が苦手でゲームは得意という小学6年生の矢口ハルオは、ゲームセンターで「ストリートファイター2」に興じていた。しかし自信のあるゲームにもかかわらず、対戦相手に7連敗。27連勝を続けるその対戦相手は成績優秀で人気者、裕福な家庭のお嬢様という同じクラスの女子・大野晶だった。高度なテクニックで29連勝までこぎ着けた大野をいまいましく思い、怒りに燃えるハルオは卑怯な技を繰り出して大野に勝とうとするが……。

 ◇編集部からのメッセージ 担当編集 横山元太さん 「ハルオという名の僕たちがここに」

 押切先生は僕の1歳年上です。ほぼ同世代です。押切先生同様、僕も小学生時代からゲームセンターに通っては、不良におびえつつ“スト2”をプレーし、学校では「源平討魔伝」や「オーダイン」「ドラゴンスピリット」などPCエンジンソフトの素晴らしさを広めようとするも、ことごとく撃沈していたタイプの人間です。

 本作の主人公である矢口ハルオも、ゲーセンやPCエンジンの素晴らしさを知っている“最高だけど残念”なやつです……。「恋愛って何?」「カッコ悪くね?」「そんなことより“スト2”で強い方がカッコいいよね!」という完全に間違った道を歩んでしまったアラサー世代(男限定)の皆さん、ハルオという名の僕たちがここにいます!

 “50円ゲーセン”を探しまわって、ようやく見つけたと思ったら学校の先生に見つかって親の呼び出しを食らっていたあのころ。“台蹴り”を恐れながら相手が同世代以下だとわかった瞬間、“台蹴り”したあのころ。狂喜乱舞に竜虎乱舞だったあのころ。さまざまな“ヘタレメモリアル”が鮮明によみがえります!

 ただ、ハルオが僕たちと違うポイント、それは、僕たちには本作のヒロインである大野晶という存在はいなかったということ……。おいハルオ、うらやましすぎるぞこの野郎! いや、わりとマジで!!

 ◇書店員の推薦文 まんが王 池田大介さん 「悪ガキ主人公の不器用な優しさにジンとくる」

 冒頭から「ストリートファイター2」や「ファイナルファイト」、中盤よりPCエンジンまで登場と90年代前半をゲームに熱中した少年期を送った人には非常に懐かしく感じる作品なのではないでしょうか?

 しかも、ところどころにはさらに古くコアなゲームまで登場して、それ以前を知ってる世代は、さらにニヤリとさせられます。

 ゲームネタの面ではそれらを知らない世代にとっては「?」ですが、悪ガキだった主人公がまれに見せる不器用な優しさにジンとくる物語なので、他の世代でも楽しめることうけあいです!

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