ガンガンONLINE:創設3年で読者が3倍の60万人に 起爆剤は「男子高校生の日常」

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 スクウェア・エニックスのコミック配信サイト「ガンガンONLINE」が、連載作品で初テレビアニメ化された「男子高校生の日常」の放送をきっかけにユニークユーザー数が約60万人を突破し、サイト創設から約3年で3倍以上の読者を獲得するなど人気を集めている。毎月、ネット発のオリジナル作品を50作品程度、無料で配信する同サイトの松崎武吏編集長、野崎修史副編集長に話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「ガンガンONLINE」は、08年10月にスタートしたコミック配信サイトで、同サイトが初の発表の場となるオリジナルのマンガを無料で配信している。コミックスの一部を無料で試し読みできたり、マンガ誌の連載作品を有料配信しているコミック配信サイトがあるが、「ガンガンONLINE」は毎月50作品程度のオリジナル作品を無料で配信し、コミックス以外の紙媒体を持たないのが特徴だ。また「月刊少年ガンガン」などで連載している作品の外伝や、休刊した「月刊ガンガンウイング」「ガンガンパワード」の連載作品の配信を09年から行っている。

 サイトでは無料で作品を配信するが、コミックスを販売することで、サイト運営費や原稿料を回収する……というビジネスモデルを採っている。そのため、スタート当初こそ赤字だったが、半年ほどで「舞勇伝キタキタ」など連載作品のコミックスを発売し、その後は黒字化した。

 松崎武吏編集長は、ネットでオリジナル作品の連載をする理由を「これからウェブが主流になると考えていたので、紙と同等のエネルギーを注いでコンテンツを作ろうとしていた」と明かす。「口コミで広がっていき、最初に出したコミックスは雑誌連載作品の初動と同じくらいでした」と開始早々、成功の手応えを感じた。

 創設時は、90年代にテレビアニメ化された人気マンガ「魔法陣グルグル」のスピンオフ作品「舞勇伝キタキタ」が話題となり、ユニークユーザー数が約17万人を記録。さらに、11年12月には約40万人となり、同サイトの初テレビアニメ化作品「男子高校生の日常」の放送がスタートした1月には約60万人と読者が増え続け、勢いが止まらない。

 読者が急増する起爆剤となった「男子高校生の日常」は、男子校に通う3人の高校生のくだらなくも笑える日常をテーマとしたマンガだ。同作は、新人の読み切り作品を中心に掲載するマンガ誌「フレッシュガンガン」から誕生し、「ガンガンONLINE」の野崎修史副編集長が発掘した。

 男女の恋愛を描いた“学園モノ”が多い中、あくまで男子高校生を中心に手に汗にぎる部活シーンも、甘い恋愛もない日常を描く……という異例の作品だが、野崎副編集長は「雑誌の読者の反応はまあまあだったけど、あきらめきれない気持ちがあったので、ウェブで試してみたかった。いわゆるスクエニ系とは少し読者は違うかもしれませんが、ウェブでの評価は高かった」と早くからヒットを確信していたという。

 「男子高校生の日常」のほかにも、都会育ちの書道家と長崎県・五島列島の島民の交流を描き、コミックスが累計100万部を突破した「ばらかもん」、もてない女子高校生の悩める日々をつづる「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」などサイトを代表する作品も生まれている。

 野崎副編集長は、サイトから生まれたヒット作の共通点を「パソコンのディスプレーでストーリーを追うことに慣れていない人が多いので、ショート(一話完結など)が支持される傾向があります。“ネタ”にしやすい作品も人気です」と分析。「もちろん、ストーリー性の高い作品も掲載しているので、慣れていただきいのですが」と付け加えた。

 さらに、「月刊少年ガンガン」から生まれたヒット作「鋼の錬金術師」の連載終了前に、最終回までのカウントダウン企画を行ったり、エイプリルフール企画として約1万ページにもおよぶ「ガンガンONLINE」を雑誌化するというウソのニュースを発表するなど独自企画に力を入れて、新たな読者を獲得したのも成功の秘訣(ひけつ)のようだ。

 松崎編集長は「読者が一番いいと思うものを提供したいので、これが完成形とは思っていません。アニメ化できるようなコンテンツをどんどん作っていきたいし、絵を動かすなどウェブでしかできないこともあると思います」と今後の展開に意欲を燃やしている。(毎日新聞デジタル)

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