朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第72回 島崎藤村「破戒」

「破戒」作・島崎 藤村(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「破戒」作・島崎 藤村(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第72回は島崎藤村の「破戒」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 「推理小説」というと、みなさんはどんな作品を思い浮かべますか?

 エドガー・アラン・ポーさんの「モルグ街の殺人」から始まったと言われる推理小説の世界は、「探偵もの」や「ミステリーもの」などに分かれ、数多くのファンを持つ一大ジャンル。

 殺人事件が多くてちょっと怖かったりもしますけど、作者と読者の頭脳勝負のような一面があるのは楽しいですよね。

 さて、今回の話題がなぜ「推理小説」かといいますと……実は、5月下旬に推理作家さんのお誕生日が集中しているからなんです。

 ここで簡単にご紹介させてください。(敬称略:「」内は代表作)

 1904年5月20日 マージェリー・ルイーズ・アリンガム「探偵キャンピオンシリーズ」

 1969年5月20日 近藤史恵「凍える島」

 1958年5月21日 芦辺拓「森江春策の事件簿シリーズ」

 1859年5月22日 アーサー・コナン・ドイル「名探偵シャーロック・ホームズシリーズ」

 1928年5月22日 佐野洋「華麗なる醜聞」

 1902年5月24日 横溝正史「探偵金田一耕助シリーズ」

 1906年5月25日 角田喜久雄「虹男」

 1894年5月27日 ダシール・ハメット「マルタの鷹」

 1874年5月29日 ギルバート・チェスタートン「ブラウン神父シリーズ」

 1969年5月29日 麻耶雄嵩「隻眼の少女」

 1879年6月 1日 フリーマン・ウィルス・クロフツ「樽」

 ……いかがですか?

 推理小説に興味がないという方も、ご存じの作家さん・作品が一つはあるのではないでしょうか?

 「全部読んだ!」という方は、かなりの推理小説好きとお見受けします。

 私はまだ全部は読めていないので、自分の読書メモに予定を入れておきました(^−^)

 ではここで、朗読倶楽部のお話……4度目の大会出場の思い出、最終回です。

 練習量を増やしたにもかかわらず、上達しないばかりかミスが増えるようになってしまい、成果が上がることのないままに大会当日を迎えてしまった私たち朗読倶楽部。

 その結果は……上位を狙うどころか、入賞もかなわずという惨憺(さんたん)たるものでした。

 大会後、一人になるのが怖くて解散することもできず、申し合わせることなく全員で学校に帰った道すがらでは、誰も口を開くことはありませんでした。

 残るチャンスは翌月に控える最後の大会、ただ一度だけ。

 しかもこの大会はルールこそ「課題朗読」と今までと同じではあるものの、テレビ局の録画が入るという今までで一番大きな大会なのです。

 もう後がないというプレッシャーの中、大きな大会で上位入賞を目指すというハードルの高さをどうしたら克服できるのか。

 私たちはそのアイデアも、気持ちの切り替えもできないまま、日が暮れてしまっても身動きできずにいたのです……。

 ……と、いうところで、今回の大会のお話はここで一区切りです。

 なんだか暗い雰囲気のまま終わってしまいましたけど、ここから5度目の大会にかけてのお話はまた次の機会に。

 それでは次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 島崎藤村「破戒」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は、島崎藤村(とうそん)さんの長編小説「破戒」です。

 島崎藤村さんは第一詩集「若菜集」(1897年)で、既に詩人として文壇にデビューしていましたが、1906年に自ら起こした出版社「緑陰叢書(りょくいんそうしょ)」の最初の作品としてこの「破戒」を自費出版したことにより、小説家としての地位も確立しました。

 以前このコーナーでもご紹介させていただいた、田山花袋さんの「蒲団」(1907年)と並び、日本における「自然主義文学」の先べんをつけた作品と言われています。

 「破戒」の意味は、読んで字のごとく「戒律」を「破る」こと。

 このお話の中では、何が破られてしまったというのでしょうか……?

 瀬川丑松(せがわ・うしまつ)さんは、長野県の飯山にある小学校の先生です。

 まじめで生徒たちからも慕われる丑松さんですが、彼には誰も知らない秘密がありました。

 それは彼が、「被差別部落」の生まれだということです。

 親元を離れるときに父親からその出自を打ち明けられ、「決して知られることのないように」と言いつけられた丑松さんは、それをかたくなに守ってきました。

 「一旦の憤怒悲哀(いかりかなしみ)に是戒(このいましめ)を忘れたら、其時こそ社会(よのなか)から捨てられたものと思へ」

 被差別部落出身者に対する風当たりの厳しさを目の当たりにして、父親の言葉は正しかったと感じる一方、「隠し、偽らないと生きていけない」社会の不条理に悩みます。

 そんな丑松さんにとって、堂々と被差別部落出身であることを明かして差別と戦う思想家、猪子蓮太郎(いのこ・れんたろう)さんはあこがれの存在でしたが、彼のようになりたいと思ってもなかなかその一歩を踏み出せずにいました。

 ところがある日、思いもよらない場所から丑松さんの素性を漏らす人物が現れて……。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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