朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第74回 鈴木三重吉「古事記物語」

「新版 古事記物語」作・鈴木三重吉(角川ソフィア文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「新版 古事記物語」作・鈴木三重吉(角川ソフィア文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第74回は鈴木三重吉の「古事記物語」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 梅雨のシーズン、雨対策は万全ですか?

 先日のお休みの日、家のお使いのついでに本屋さんで新刊を買いました。

 ところが帰り道に急に雨が降ってきて、傘を持っていなかった私は近道するために公園を通ったんです。

 雨宿りするには外が暗くなり始めていたというのもあるんですけど、早くお家に帰って本を読みたいという気持ちが大きかったんですね。

 それで、雨の水たまりに注意しながら公園の中を速足で歩いていたら、足元の地面で突然何かが動いたんです。

 ちょうど足で踏もうとしていた場所だったものですから、びっくりして足を引いた瞬間にバランスを崩してしまい、尻餅をついてしまいました。

 動いた何かに目を向けると、そこには拳ほどのサイズのカエルさんが……。

 辺りが暗くなってきていた上にカエルさんの体が保護色のように地面の色とそっくりだったので、もし動いてくれなかったら気づかずにそのまま踏んでしまうところでした。

 そのカエルさんはしばらくその場に止まっていたかと思うと、すぐそばの茂みに飛び込んでいきました。

 踏んでしまうことがなくてよかったとは思ったのですが、お使いの卵は割ってしまうし、買ったばかりの本はぬらしてしまうし、お尻は真っ黒に汚れてしまうし、おまけにお家に帰ってからお母さんに大笑いされてしまうしで散々でした……(>_<)

 とはいえ私の不注意が原因ですから、次からは、もうちょっと地面に注意を払わないと……。

 あと、今度からせめて本だけは守れるように、防水のブックポーチを持ち歩こうと心に決めました!

 ではここで、朗読倶楽部のお話……前回に続き、最後の大会前のお話です。

 次の大会が最後のチャンスという焦りから、練習してもミスを繰り返し、さらに焦るという悪循環に陥っていた私たち朗読倶楽部。

 「気分転換をしないか?」

 という先生の言葉にすがって、後をついていくことにしたのですが……。

 先生に案内していただいたところは、なんとカラオケボックスでした。

 私たちはここで、「何か変わった練習方法を教えてもらえる」と期待したのですが、先生は厚い楽曲リストを開くこともなくリモコンに曲番号を入れ、歌を歌い始めてしまいました。

 予想外の出来事にあぜんとする私たちでしたが、それと同じくらい驚いたのは先生の歌のうまさです。

 結局、1曲終わるまで私たちは身動きもできずに先生の歌を聴いていたのですが、先生が何も言わずに2曲目を歌い始めようとしたところで、部長さんが止めに入りました。

 「何か特訓してくれるんじゃなかったの?」

 と、若干ヒートアップ気味の部長さんでしたが、みかえさんと私も同じ気持ちでした。

 「そんな話はしてないぞ、気分転換をしないか、と言ったんだ」

 調子を変えることもなく冷静な先生を前に、私たちは顔を見合わせるしかありませんでした……と、いうところで、次回に続きます。

 この次も、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 鈴木三重吉「古事記物語」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は日本初の児童文芸誌「赤い鳥」創始者にして、日本児童文学の父と呼ばれる鈴木三重吉さんの「古事記物語」です。

 「古事記物語」の原作となる「古事記」は、今から1300年前に奈良時代の文官・太安万侶(おおのやすまろ)さんによって記されたと言われ、現在知られている中では「日本最古の歴史書」です。

 古事記の内容をご存じない方でも、以下のお話のいずれかを一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか?

 ・伊弉諾神(いざなぎのかみ)と伊弉冉神(いざなみのかみ)

 ・天照大神(あまてらすおおかみ)と天岩戸(あまのいわと)

 ・須佐之男命(すさのおのみこと)による八俣の大蛇(やまたのおろち)退治

 ・因幡(いなば)の白うさぎ

 ・倭建命(やまとたけるのみこと=日本武尊)と天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)。またの名を草薙剣(くさなぎのつるぎ)

 これらはすべて、古事記に収録されているエピソードなんです。

 全3巻から構成されているこの「古事記」ですが、古い文献のために漢文で記されており、誰にでも読めるものではありませんでした。

 そこで、「古事記」を現代文にして、子供でも読みやすいように物語要素を強めたのが、鈴木三重吉さんの「古事記物語」なのです。

 以前ご紹介させていただいた、「論語」を物語にした作品「論語物語」(下村湖人・1938年)と同様のアプローチですね。

 「古事記物語」は1919年の「赤い鳥」7月号から翌1920年の9月号まで連載されました。

 同年に出版された単行本は現在に至るまで増刷を続け、今日でも「古事記の入門書」として広く親しまれています。

 日本神話に興味のある方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

 原作の「古事記」の方も現代語訳された本が出ていますから、「古事記物語」と読み比べるのも楽しいと思いますよ(^−^)

 もっと深く知りたい場合は、「日本書紀」や「風土記」にも同様の記述がありますから、それぞれの違いをまとめてみるのもいいかもしれませんね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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