話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、「魔弾の王と戦姫（ヴァナディース）」（川口士著、よし☆ヲ画）です。メディアファクトリーコミック／ライトノベル事業部の岩浅健太郎さんに作品の魅力を聞きました。

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　−−この作品の魅力は？

　弓だけが取りえの田舎貴族の少年ティグルが、駆り出された戦で、敵方の総大将にしてたぐいまれな美貌の少女、“銀閃の風姫”エレンに見初められ捕虜にされてしまう……というストーリー。ジスタート王国の誇る七戦姫や、主人公が弓の名手という設定は、王道を行きながらも「ありそうでなかった」感を演出し、読者を魅了します。著者の川口さんの地に足のついたキャラクターと世界観描写に、よし☆ヲさんのキャッチーかつ華やかなイラストがついたことで、懐かしくも新しい戦記ファンタジーが出来上がったと思います。

　−−作品が生まれたきっかけは？

　著者の川口さんにお声がけして一緒にお仕事をさせていただくことになったのですが、最初にいただいたプロットのタイトルは「魔弾の射手」。最初から主人公は弓使いでした。ただ、戦姫については、最初プロットの中に「ヒロインは戦姫の一人にして、剣と戦の達人」という一文だけがあって、キャラクター紹介でも特に触れられていなかったんですね。この“戦姫”という単語にすごくいい意味で引っかかって、ここをふくらませる形で川口さんにご相談し、今の設定になっていきました。

　−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか？

　著者の川口さんは、たいへん実直な方ですね。ほんとに文章通りのお人柄です。でも抜けたところもあって、そのあたりがよくネタにされるゆえんなのかなと思いますね。イラストレーターのよし☆ヲさんは……ふわふわとした方ですね。あとびっくりするくらい男前です（笑い）。川口さんにお声がけしたきっかけは、富士見書房さんで出されている「漂う書庫のヴェルテ・テラ」という作品が面白いな、と思っていて。「ぜひ一緒にお仕事をしたい！」と思ってお声がけさせていただきました。よし☆ヲさんは、コミケで拝見した際にピンときました。割と直感です。

　−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

　「魔弾」は毎回、10時間くらいかけて川口さんといろいろとご相談をさせていただきながら改稿方針をつめていくのですが、ご相談のなかで、すごく盛り上がる展開が生まれるときがあって。そういうときは大変テンションが上がりますね。だいたい深夜のファミレスなのですが（笑い）。逆に大変なのは……スケジュールでしょうか。お二方ともお忙しいので仕方ない面もあるとは思いつつ、もう少し何とかしたいところですね（苦笑）。

　−−今後の展開、読者へ一言お願いします。

　おかげさまで、「魔弾」はファンタジー作品としてはここ数年まれに見るヒットタイトルに成長しました。これも一重に、応援してくださる皆さまのおかげと大変感謝しております。フラッパーでのコミカライズも毎月盛り上がりを増していますし、原作のほうも、いよいよ第1部、ブリューヌ内乱編のクライマックスまでたどり着くことができました。「魔弾」は読者の皆さまが応援してくださる限りまだまだ続いていきますので、引き続きのご愛顧を、どうぞよろしくお願いいたします。

　メディアファクトリー　コミック／ライトノベル事業部　岩浅健太郎