高倉健:18年ぶり海外映画祭で感涙 モントリオールで「あなたへ」公式上映

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 俳優の高倉健さんが2日(現地時間)、カナダ・モントリオールで開催中の「第36回モントリオール世界映画祭」で、6年ぶりの主演映画「あなたへ」(降旗康男監督)が公式上映されるのに合わせ、現地を訪問。94年の「四十七人の刺客」でベネチア映画祭に参加して以来18年ぶりに、海外の映画祭に足を運んだ高倉さんは、公式上映後のスタンディングオベーションに涙を浮かべ、自身も立ち上がって現地の観客にあいさつした。

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 高倉さんは、会場を後にすると、「泣いちゃったね。ふっと(涙が)出てしまいました。前に座っていたフランス人のおばあちゃんも泣いていました。映画祭っていいものだね」としみじみ。「終わった後、みなさんの拍手を受けて、何か分からないぞくっとするものがありました。これが映画祭の持っている魔力なのでしょうか。何十年も役者をやってきても、こんな経験をするんですね。心に衝撃を受けました。映画にはそういう力があります」と感動していた。

 高倉さんは公式上映に先立ち、海外メディアなど約100人が集まった公式会見にも出席。「なぜ6年も休んでいたのか?」との質問に、「Very difficult question(難しい質問だ).今はまだ分かりません。6年前に中国映画(『単騎、千里を走る』)に出てから、自分の仕事の仕方を考え直していました。まだ結論は出ていません」と説明。今回の映画祭に出席したのは「13年前に『鉄道員』で最優秀男優賞をいただいたので、どこかでお礼がしたかったことと、降旗監督が来られなくなったのでしぶしぶ来ました」と会場を笑わせた。

 映画は、北陸にある刑務所の指導技官・倉島英二(高倉さん)が50歳を前に刑務所に慰問に来た歌手・洋子(田中裕子さん)と結婚。2人は平穏で幸せな日々を過ごしていたが、洋子は53歳の若さで死亡。洋子が残した絵手紙には、スズメの絵とともに「故郷の海に散骨してほしい」と書かれていた。英二は妻の真意を知るため彼女の故郷である長崎県平戸市の薄香港を訪れることにする……というストーリー。綾瀬はるかさん、ビートたけしさんらも出演している。

 「あなたへ」は、25日の公開から9日間で82万人以上を動員するなど好調で、同映画祭にはワールドコンペティション部門に正式出品されている。高倉さんは99年に出演作の「鉄道員」が同部門に出品され、日本人俳優として初となる最優秀男優賞を受賞したが、現地には訪問できなかった。

 今回の公式上映では、海外のマスコミや観客から「日本的な内面の感情表現がとても美しい」「高倉健が81歳だなんて信じられない。これからも何本も作品に出てほしい」など降旗監督の日本的な余白を残す描き方や高倉さんの演技に高い評価が集まっているといい、3日午後7時(現地時間)から行われる授賞式での受賞に期待も高まっている。(毎日新聞デジタル)

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