はじめの1巻:「きしとおひめさま」 地球に開いた巨大な穴をめぐるSFファンタジー

「きしとおひめさま」(芳文社)1巻の表紙
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「きしとおひめさま」(芳文社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「まんがタイムきららMiracle(ミラク)!」(芳文社)で連載、地球に開いた巨大な穴を研究する人々と謎の騎士を描いたパインさんのSFファンタジーマンガ「きしとおひめさま」です。

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 99年5月10日、地球を貫通する巨大な穴が開いた。舞台はそれから12年後。つくよは、穴の調査員だった父が亡くなり、2年前から穴の調査員を務めていた。穴は、大がかりな調査や観測が行われたものの、12年間、なにも変化せず、その存在は日常と化していた。しかし、ある日突然、穴から爆発が起こり、光の柱が噴出する。

 ◇編集部からのメッセージ KRコンテンツ事業部 編集長補佐 篠原猛さん「物語に身を投じて」

 作者のパイン先生はこの作品がデビュ−作という新人さんです。初め、お声掛けさせていただいたときは、特にどの雑誌で何をやるかとまでは決めずに、パイン先生に創作イメージを広げてもらいました。そうして組み上がったのが、遠大な構想を秘めた本作でした。

 ご本人も「今までにない形のちょっと変わった4コマをやりたい」というお気持ちが強かったのですが、ちょうどそのとき「4コマの可能性を広げる」というコンセプトの新雑誌「きららミラク」の企画が進んでいたところでしたので、ちょうどいいとばかりに「きららミラク」1号目からの新連載となりました。

 「地球に巨大な穴が開いた」「でも何も起こらないまま12年が過ぎた」「このまま何も起こらないだろうと思ってたら大異変が起きた」といった感じで、登場人物ばかりか読者も翻弄(ほんろう)されているような流れが続く第1巻ですが、登場人物と一緒になって「一体なんなんだ?」とばかりに物語に身を投じてみてください。きっと、世界の行く末を見届けたいという気持ちが抑えられなくなっていくことと思います。何よりも私自身、この作品が行きつく先を見届けたいという気持ちでいっぱいです。

 ◇書店員の推薦文 南海ブックス 岡本美紀さん「話はシリアス、登場人物は真剣さが続かない」

 地球に空いた大空洞の謎を解明しようとする科学と、穴によってもたらされた現象から世界を守る騎士が共存する不思議なお話。おっとりした性格の主人公、しかもお話の背景はシリアスなのに、真剣さが続かない登場人物たちばかり。中でもジャーナリストの神埼君は、日本からハワイ沖まで目隠しで、セスナと何だかわからない乗り物で運ばれ、名前を忘れられ犬にもかまれるという、不幸体質を備えている。大空洞の謎、騎士団の謎、そして騎士とお姫様に何があったのか、展開が待ち遠しいストーリー4コマです。

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