水川あさみ:椎名桔平と「山梨でほうとうを満喫」 ドラマ「RETURN」の舞台裏語る

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 女優の水川あさみさんが、スマートフォン向けアプリ「UULA(ウーラ)」で配信中のオリジナルドラマ「RETURN」(原田眞人監督)に、主演の椎名桔平さんが演じる北原が暗殺をもくろむ男の愛人・伽羅(きゃら)役として出演している。24日に配信される最終話を前に、作品の魅力や椎名さんら共演者との舞台裏エピソードを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ◇伽羅は「心に葛藤を抱えた女性」

 「RETURN」は、現代日本の裏社会を描いたバイオレンスアクション。旅行代理店に勤める平凡な男・古葉(椎名さん)が、借金の取り立てに来た暴力団の若社長をはずみで殺害してしまう。海外へ逃亡した古葉は、北原と名前を変えて南米のカジノでディーラーとして転々としながら働いていたが、ある日、雇い主のボスから日本人の悪徳実業家の殺害を強要される。その男は以前、北原が別のカジノで働いていた際に客として出会い、大もうけしたことで北原を気に入り、日本に帰ることを勧めた狭土(はさど)だった。ボスに「1週間たっても狭土が生きていたら、お前は国際手配されることになる」と脅され、北原は仕方なく狭土を殺すために日本に向かうのだが……というストーリー。

 水川さんが演じるのは、狭土の忠実な部下で、愛人の1人でもある伽羅。以前、狭土から命じられて南米にいる北原と接触し、日本帰国を促した女性であり、北原はその際に渡された携帯電話を使って彼女とコンタクトをとる。そして、伽羅は北原と狭土の連絡係となり、2人が会うまでの間、北原と行動を共にすることになる。

 ミステリアスで、どこか陰を持った伽羅について、水川さんは「表面上はクールに装っていますが、すごく人間っぽいし、いろんなことを抱えている女性だと思う」と分析し、北原と接するうちに信頼関係が芽生える役どころを「狭土と北原に挟まれて揺れ動く、はちきれそうな心情を抱くようになるので、監督からも『アンビバレント(相反する)な部分を見せてほしい』といわれていました」と語る。自身との共通点は「まったくないですね。ああいう立場はなかなかないですし……」といいながらも、伽羅の心情に対して「北原に人間としてひかれる部分はわかりますね」と共感しているようだ。

 ◇「撮影はほとんどアドリブ」

 一方、北原を演じる椎名さんについては「すごくストイックな方で、お芝居に真剣に取り組んでいらっしゃって。アクションシーンも事前に練習されていたそうなんですが、とても迫力あるシーンになっていました。現場でもみんなの先頭に立って、いつも引っ張ってくれました」と語り、役柄同様に信頼を寄せている。

 また、撮影では、伽羅と北原、2人の運転手役を務める狭土傘下のタクシー会社で働くウノを演じる山本裕典さんとのシーンが多かったことから、よく3人で過ごしていたという。「すごく緊張感のある現場だったんですが、和気あいあい楽しくやっていました。山本君はとても明るくて楽しい人でしたね」と笑顔で語り、「ロケで行った山梨で、合間に3人でほうとうを食べにいくことになったんです。桔平さんがおいしいほうとう屋さんを調べてくださって。でも、山本君が1人のシーン撮影が入ってしまって。結局、スタッフさんを交えて桔平さんと2人で行くことになったんですが」と舞台裏エピソードも明かしてくれた。

 そして、その関係性は本番でもいかされている。「監督がすごくアドリブを要求するので、台本にあるせりふの前後を自分たちで考えたり、丸々1カットをアドリブで行ったり。ほとんどのシーンにアドリブが入っているんです。事前に打ち合わせは行わずに、即興でかけ合いを楽しみましたね。相手のアドリブに対応できるようにしていましたし、私のアドリブにも『どう返してくれるのかな』って」と絶妙のチームワークを語った。

 ◇物語のラストには「大ドンデン返し」が

 本作で、メガホンを取ったのは「第35回モントリオール世界映画祭」で審査員特別グランプリを受賞した「わが母の記」の原田監督。水川さんにとって原田監督とは初顔合わせだが、「優しい人ですし、監督としても発想力が豊かで、驚くような演出をするんです。たとえば、会話のシーンでも、相手と面と向かって話すのではなく、すごく面白い位置にみんなを座らせて撮影をしたりして。それが、映像を見るときちんと成立しているので、『ああ、こういう撮り方もあるのか!』って。それから先程も言いましたが、アドリブが多い撮影も新鮮でしたね。うん、すごく楽しかった」と撮影を振り返る。

 また、原田監督が担当した脚本も、「アクションやバイオレスが描かれていますし、なかなか日本の映画では見られないようなストーリーだと思います。最後の最後には、『え!?』っていうような大ドンデン返しも待ち受けていて、先が読めないんですよね。それから、本を読んだ時に、『どういうふうに役者さんが演じて、どういうふうに撮るんだろう?』って、とても興味をそそられました」と語り、「『わが母の記』とは全くテイストが違いますし、監督はいろんな世界観を持っていらして、同じような作品がないっていうのはすごいなって思います」と絶賛した。

 映像化された作品については「スピード感もあって、すごくかっこよかった」と目を輝かせ、「出演者それぞれの個性も引き立っていたし、現場では撮影したシーンをチェックしていなかったこともあって、『こうなってたんだ、ああなってたんだ』って。たくさん驚きがありましたし、すごく新鮮で面白かったです。回を追うごとに『どうなっていくんだろう?』って引き込まれる展開になっているので、視聴者の方にも楽しんでほしいですね」とアピールする。

 同作は、シーンを追加して今夏に映画化も決定している。「まず、この作品を携帯で見られることがすごくぜいたくなんですが、『今度は大きい画面で見てみたい』って、ご覧になった方たちが映画館に足を運ぶきっかけになってくれたらうれしいですね」と期待を寄せていた。

 ドラマ「RETURN」は、「UULA」で配信中。1話14分で全8話(第1話は無料配信)。最終話は24日に配信される。

 ◇プロフィル

 みずかわ・あさみ。83年7月24日生まれ。大阪府出身。96年にCMでデビューして以来、女優としてドラマや映画などで活躍。代表作にドラマ「のだめカンタービレ」(06年・フジテレビ系)、「ラスト・フレンズ」(08年・同)、「夢をかなえるゾウ」(日本テレビ系)などがあり、11年にはNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」にも出演。最近では、1~3月放送のドラマ「シェアハウスの恋人」(日本テレビ系)で主演を務めた。

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