注目映画紹介:「藁の楯」凶悪犯を守るSPが盾になれるかで人間の良識を推しはかる

(C)木内一裕/講談社 (C)2013映画「藁の楯」製作委員会
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(C)木内一裕/講談社 (C)2013映画「藁の楯」製作委員会

 大沢たかおさん、松嶋菜々子さんが警視庁警護課のSPにふんした「藁の楯」が26日から全国で公開された。原作は、木内一裕さんの同名小説。「悪の教典」「十三人の刺客」などで知られる三池崇史監督がメガホンをとった。

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 大沢さん、松嶋さんが演じるのは、連続幼児殺害犯の清丸国秀(藤原竜也さん)を、潜伏中の福岡から東京に移送する任務を命じられた警視庁警護課のSP、銘苅一基(めかり・かずき)と白岩篤子。ところが、被害者の祖父(山崎努さん)が清丸に懸賞金10億円を懸けたことから、全国民の欲望と殺意が清丸に注がれる。果たして、銘苅、白岩ら5人の警察官は、清丸を目的地まで送り届けることができるのか……というストーリー。

 人間のクズを、SPは自分を犠牲にしてまで守るのか、それとも、国民が下す“正義”を見て見ぬふりするか……凶悪犯を守るという職務を与えられた人間が、その盾になれるかを問うことで、人間の良識を推しはかる。葛藤を抱えながら任務に就く銘苅を大沢さんが、原作では男性だった白岩役を松嶋さんが好演。ほかに、永山絢斗さんが清丸に対して反感むき出しの若手刑事を、これほど暴走気味の永山さんは初めて見たというぐらいに力演している。清丸役の藤原さんの、憎まれ口をさらっとたたく、しぶとい極悪人ぶりも出色の出来。ほかに、警察官役で岸谷五朗さん、伊武雅刀さん、タクシー運転手役で余貴美子さんらが出演。これほどのキャストは、なかなかあるものではない。26日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌の編集、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。最近、抜いた歯を、根元の治療をしたあと再び戻す“再植”というすごい体験をした。いま、その歯が“根付く”のを待っている。

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