劇場版「クレヨンしんちゃん」や「河童のクゥと夏休み」(07年)などの劇場版アニメで知られる原恵一監督が、初めて手掛けた実写映画「はじまりのみち」が1日に公開された。「二十四の瞳」などの日本映画の巨匠・木下恵介監督生誕100年を記念した作品。木下監督を敬愛するという原監督が戦中の疎開先を舞台に、母と息子の愛を温かく描きながら、木下作品へのオマージュとして作り上げた。
あなたにオススメ
「豊臣兄弟!」では池松壮亮が! 大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る
木下恵介(正吉=加瀬亮さん)は昭和19(1944)年に撮った映画「陸軍」が、戦意高揚の役割を果たしていないと政府当局からにらまれ、次作の製作を中止されてしまう。気落ちしたまま松竹に辞表を出し、脳いっ血で倒れた母たま(田中裕子さん)が療養している浜松市に向かうことにした。母親に「木下正吉に戻る」と宣言する。やがて戦局が悪化。恵介は兄(ユースケ・サンタマリアさん)と一緒に母をリヤカーに乗せて疎開させることにした。便利屋(濱田岳さん)を雇い、山越えをする旅が始まった……という展開。
生誕100年のメモリアルに、若かりし不遇の時代の木下恵介を描くアイデアが秀逸。どんな時代にもその時代に翻弄(ほんろう)される運命にある若者たちがいるが、木下の姿からは運命にあらがう強さを教えられる。映画監督として失意を抱えた木下が母を連れて疎開先に向かうというシンプルな筋書きの中に、木下監督の原点が宿っている。母への思いと母の息子への思いが、ジンワリとにじみ出るように描かれている。多くの木下作品がはさみ込まれている趣向も楽しく、モノクロからカラーに移り変わる映画の歴史も堪能できる。濱田さんのユーモラスな便利屋がアクセントとして登場し、木下作品のユーモアを継承するかのようだ。日本人顔(「テルマエ・ロマエ」ふうにいうなら平たい顔族か?)の俳優ばかり集めたキャスティングも絶妙だ。1日から東劇(東京都中央区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士としてとぼとぼ歩き中。
ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作「モアナと伝説の海2」(デイブ・デリック・ジュニア監督ほか)の大ヒット御礼舞台あいさつが12月23日、東京都内で開かれた。イベントでは…
東宝の2025年の配給作品ラインアップ発表会が12月23日、TOHOシネマズ 日比谷(東京都千代田区)で行われ、2024年の興業収入などが発表された。市川南取締役専務執行役員は、…
2012年から7シリーズにわたって放送されたテレビ朝日系の人気ドラマの完結作となる映画「劇場版ドクターX」(田村直己監督)のクランクアップ写真が公開された。主演の米倉涼子さんをは…
俳優の米倉涼子さんが12月22日、東京都内で行われた主演映画「劇場版ドクターX FINAL」(田村直己監督)の“舞台あいさつFINAL”に登場。イベント終盤にあいさつを求められた…
花沢健吾さんのマンガが原作の映画「アンダーニンジャ」(福田雄一監督、2025年1月24日公開)の新キャストが発表された。津田健次郎さんが、謎の存在「アンダーニンジャ(UN)」の声…