最近テレビやCMでちょくちょく見かけるけれど、実はあんまりよく知らない……。そんな、いまさら聞けない“ネクストブレーク芸人”の基礎知識を、本人たちの言葉を交えて紹介する。今回は「THE MANZAI」2年連続ファイナリストで、実力派コント師でもあるお笑いコンビ「アルコ&ピース」。「笑っていいとも!」や「オールナイトニッポン0(ZERO)」にレギュラー出演するなど勢いに乗る2人に、お互いについて、お笑いに対する思い、最近の仕事について聞いた。(毎日新聞デジタル)
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平子祐希(ひらこ・ゆうき)さんと酒井健太(さかい・けんた)さんのコンビ。太田プロ所属。06年から活動を開始し、フジテレビの「THE MANZAI 2011」でファイナリストとなり、翌年は最終決勝に進出して3位の成績を収めた。平子さんは1978年12月4日生まれ。福島県出身のA型。趣味は格闘技観戦、読書、映画鑑賞。特技はラグビー、キックボクシング。酒井さんは83年10月29日生まれ。神奈川県出身のB型。趣味はスポーツ観戦、サッカー。特技はサッカー、リフティング。
現在、フジテレビの昼のバラエティー番組「笑っていいとも!」(月~金曜正午)で、お笑いトリオ「パンサー」、お笑いコンビ「ウエストランド」とともに週替わりで水曜のレギュラーを務めている。ほかにAMラジオ「ニッポン放送」の深夜番組「オールナイトニッポン0(ZERO)」(月~金曜深夜3時)で木曜のパーソナリティーを担当。21日に最新の漫才とコントを収録したDVD「博愛」(コンテンツリーグ)を発売する。
コンビ結成は、互いに組んでいたグループを解散してピン芸人をしていたことがきっかけ。後輩だった酒井さんが平子さんに声をかけた。平子さんは「酒井さんがピン芸人で調子がよかったから、一緒に組みたいけれど言いづらい状況だったんですが、向こうが俺の背中を見ていたみたいで。『一緒に組みませんか』と誘われた」と当時を振り返り、「学生の時の片思いみたいな感じだった。(誘われて)僕はそれをおくびにも出さないで『いいよ』って言った」と明かした。酒井さんは「(平子さんの)前のコンビも見ていて、センスの塊だと思っていた」と絶賛。平子さんも「前の相方がいなくなって、大きい穴を失って左がちょっとさみしかった。でも酒井さんは穴を埋めてあまりある相方」とほめあった。
コンビ名は、お互いの名字、「酒井」と「平子」の名字が由来。酒井さんの酒をアルコール、平子さんの平を平和に置き換えてピースとし、アルコールをアルコと縮めて「アルコ&ピース」となった。平子さんは「蒲田の『サンマルクカフェ』で決めた。候補が三つあった中の一つ。僕が考えてきて、『どれがいい?』となった」と明かした。決断を下した酒井さんは「ほかがひどかった。『ナミダフイタカレタ』とか……」と苦笑した。
コンビ仲について、平子さんは「解散を考えたことは一回もないですね。ケンカもないので。同級生コンビみたいにお互いに年が近いと意見がぶつかったりするんでしょうけれど、僕らは5歳違うので、僕にとっては弟と同じです」と語った。酒井さんは、平子さんについて「やっぱりお兄ちゃん。僕は家族にお兄ちゃんがいないので頼れる。ネタもお兄ちゃんに任せている」と語った。一方、平子さんは、酒井さんについて「特筆すべきは目がきれい。まずはライブでそれを見に来てほしいな。今つぼみの段階かもしれないですが、僕とのコンビの仕事で、マルチな才能を開花させていきたいな」と語り、コンビ愛を見せつけた。
コントと漫才については、どちらも半分くらいの割合でやっており、こだわりはないという。ネタを書いている平子さんは「大枠で『お笑い』と思っているので、どっちが好きというのもないです。こだわりがあるとかたよりが出ちゃう」といい、「僕らはマルチスタイルと呼んでいる。コントだと演技力が要求されるし、映画だったりお芝居だったりお仕事が発生して、つながりやすくなればいい」とちゃめっ気たっぷりに野望を語った。
レギュラー番組の「笑っていいとも!」や「オールナイトニッポン0」で人気と知名度が急上昇し、「ありがたいことに休みも少なくなってる」という平子さん。街中ではファンが声をかけてくれるというが9割方が男性で、ラジオファンが多いという。お笑いライブのファンとはまたひと味違い、「深夜ラジオなんで、教祖というか、カリスマ的なものに触れるかのような感じで、おずおずと近づいてくる若者が多い。普段の僕らは結構フラットな感じなので、がっかりさせちゃうかなと思って、わざと荒めにしゃべってみたりします」と明かす。他には「『見たことあるな』という目線で見られますね。『誰だっけ誰だっけ?』とささやき声とか聞こえる。まだ、顔をさされてうんぬんまでは……」といいながらもうれしそうだ。
ライバルの芸人は、2人ともお笑いトリオの「パンサー」だという。酒井さんは「人気あるしねー」とつぶやき、「1段階2段階、向こうが上に行ってる」と語った。平子さんは「彼らはトリオなんで、それほど仕事やキャラがかぶるということはないけれど、現場で名前が挙がったときにぶつかりやすい」と冷静に語りながらも、「仕事が減ればいいなと思っている。(パンサーのメンバー)向井(慧さん)の女性の出待ちの数とか見ると、いけ好かないなと思う。本人にも『ペース、少し減らしたらどうだい?』とツイッターで打診してます」とその人気に嫉妬している様子を見せた。
一方で、芸人としてマルチな活躍を目指す2人の理想型も「パンサー」で、平子さんは「一番テレビの出方が多岐にわたってる。もちろんネタ番組にもトリオで出てますし、向井はピンで司会もしてる。菅(良太郎さん)は不可思議な部分を残しててキャラが立っている」と分析。「世間的には青田買いのイメージを残しつつ、それぞれが可愛がられている。いけ好かなくもあこがれる」と複雑な思いを語った。
仕事が順調な現状だが、平子さんの悩みは「忙しさとギャラが一致しない」こと。「家族たちや親戚、周りからはもっともらっているんじゃないかと思われてるんですが、そんなことはない」といい、「『これだけしかもらっていないんだよ』というほど少ししかもらっていないわけではなく……。『中間のジレンマ』。これです!」と切実に訴えた。一方の酒井さんは「趣味がないのが悩みですね。趣味でテレビに出られることもあったりするので、何か一つ趣味を持たないとと思うんですが、何にも続かない」と困り顔。平子さんも「ネタ3本作るより一つマンガに詳しい方がテレビに出られちゃう時代」と苦笑した。
今後やってみたい仕事は、浴衣で地元民とふれあう温泉リポート。酒井さんも「たまにひな壇とかに出ても、ここで立つんだ、とか、口パクになっちゃう。みんなについていけない」と語り、平子さんは「ゆったりとした雰囲気でしゃべれるような番組とかいいな。『ちょっとちょっと!』と大きい声を出したり、舞台を広く使って躍動するネタをやるとかは、もっと秀でた化け物芸人がたくさんいるので、自分たちの雰囲気を出したい。ゆったりとしたパーソナルで勝負したい」と、理想を語っていた。