ハジ→：鈴木奈々共感“肉食系ラブソング”が話題「音楽は自己主張の道具じゃないと価値観変わる」

　歌とラップを融合させたスタイルで、ピュアでまっすぐな気持ちを歌う仙台出身の“シンガーソング・エンターテイナー”のハジ→さん。シングル「for YOU。」が、10～20代の女性の間で“肉食系ラブソング”と話題になっているがその「for YOU。」など12曲を収録した、14日発売の初のフルアルバム「超ハジバム。」のテレビスポットCMには、近ごろ婚約したタレントの鈴木奈々さんが出演し話題を集めている。そんなハジ→さんに新作について聞いた。（榑林史章／毎日新聞デジタル）

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　−−これまでにリリースした3枚のミニアルバムなどが配信チャートで上位に食い込みました。ご自身ではどんなところがウケていると考えていますか？

　僕は日々思うことを歌詞につづっているのですが、そこでうそをついていないところだと思いますね。僕が心がけているのは、聴いてくださるみなさんの日々に寄り添える音楽であるということ。性別を問わずいろいろな年齢層のリスナーさんをイメージして楽曲制作を行っているので、きっとみなさんが自分のことに置き換えて聴いていただけているのだと思います。

　−−7月にリリースしたシングル曲「for YOU。」が“肉食系ラブソング”と話題ですが。

　ずっと支えてくれたお前のお陰で今の俺がある、これからは俺がお前を幸せにするよ、というような内容の歌詞なんですが……。自分から肉食系だと言ったことはないんですけど、気持ちを伝えずにいるのは嫌だし、恋愛は男が引っ張っていくものだと思っているので……。草食系ではないので、間違いではないです。

　−−そんな「for YOU。」を収録したアルバム「超ハジバム。」のテレビスポットCMには、鈴木奈々さんが出演されていますね。

　鈴木奈々さんが、長年お付き合いされていた彼氏からプロポーズされて婚約したというストーリーが、「for YOU。」の歌詞と重なる部分がたくさんあって共感したということで出演していただきました。結婚式のときは「for YOU。」を流したいと言ってくださって、すごくうれしかったですね！

　−−ちなみに、ハジ→さんご自身の結婚は？

　独身ですし、今のところ予定もないので……。当分は聴いてくださる皆さんのためだけに「for YOU。」を歌います！

　−−アルバム収録曲には、ポップなナンバーの「楽器の弾けないミュ→ジシャン♪♪。」もあって。ハジ→さんの音楽に対する思いが込められているように思いました。

　実際に僕は、今でも楽器を弾けません。でもそれでいいと思っているわけじゃなくて、歌詞の最後で“いつか必ずものにする！”と歌っていて。それが、この曲のポイントです。音楽に限らず、いろんな夢や目標にも言えることですが、物事は教科書通りである必要はないんです。それぞれに合ったやり方があるのだから、自分を信じて模索することが大切だと思っています。

　−−そもそも、アーティストを志したきっかけは？

　歌はずっと好きでしたが、明確に志すようになったのは、高校生のときにGLAYの「BELOVED」や「HOWEVER」に感銘を受けてからです。そのときは、文化祭に出るためにコピーバンドを組んでボーカルをやりました。今のスタイルになったのは、大学時代にヒップホップに詳しい友人ができてからで、ヒップホップ、R&B、レゲエなどいろいろ聴くうちに自分でもラップをしたいと思うようになって……。

　−−当時から今のような歌詞を書いていたのですか？

　いえ、最初はいわゆるラップのイメージにありがちな、自己主張の強いものばかりでした。でも、あるとき友だちに向けて「おまえに。」という曲を作ったら、友だちや仲間から“いいね”とか“共感した”と言ってもらって、初めて人の心に響いたという実感があったんです。そのとき、音楽は自己主張の道具じゃない、コミュニケーションのためのものだと、価値観が変わりました。それから、徐々に今のような歌詞のスタイルになりました。

　−−また、仙台出身のハジ→さんが、東日本大震災の経験を基にして書いた「3.11。」という曲もありますね。

　震災のときは、ちょうど東京にいて。仙台の人間なのに、そのときそこにいなかったという罪悪感、悔しさ、やりきれなさ、さまざまな気持ちが心に残って。そのときから、その日のことを忘れないための歌、経験を学びにして未来に生きるんだとメッセージを込めた歌を作らなきゃいけないと使命を感じて。あの日から2年以上たって、ようやく完成させることができました。仙台で1度ラジオで流してもらったのですが、最初は不安もありました。思い出したくないという方も大勢いらっしゃるので。でも思い切って流したら、実際に被害に遭われた方、大切な人を亡くした方など、大勢の方から「ありがとう」という言葉をいただいたんです。逆に僕自身が勇気をもらって、これからどんどんこの歌を伝えていこうという気持ちになりました。

　−−最後には、壮大なスケールの「ネバ→エンド☆。」という曲が収録されています。力強い歌声が背中を押してくれる曲ですね。

　このアルバムで伝えたかったことを総決算した曲です。さまざまなメッセージを込めていますが、僕は僕なりに頑張るし、もし嫌じゃなければあなたのことを応援しますよ、あなたもあなたなりに頑張ってみませんか？と歌っています。ようは一人じゃないということ。せっかく同じ時代に生まれたのだから、ともに生きていきましょう！

　−−そう言えば、ハジ→さんのお名前の矢印もそうですが、楽曲には必ず句点が打ってありますが、これらにはどんな意味が？

　名前はもともとHAZZIEと表記していたんですけど、矢印を見たらハジ→を思い出すみたいな感じになったらいいなと思って。句点は、全曲全作品のタイトルに句点を付けた、初めての人になってやろうと思って（笑い）。あと句点を打つことで、曲に判を押すみたいな意識もあるし。ゆくゆくは世界に出たいと思っていて、そのときは句点という日本の文化を世界に発信したいと思っています！

　＜プロフィル＞

　2010年12月にインディーズからデビューミニアルバム「ハジバム。」をリリース。「ハジバム3。」まで3枚のミニアルバムのほか、「春色。／証。」「ずっと。」「あなた。」といったシングルをリリース。多くの作品が、レコチョク、iTunesなど配信チャートで上位にランクイン。11月には全国6公演のツアー「超ハジバム。ツアー♪♪。～俺がお前を幸せにする2013～」を開催。ツアーに向け「こんなに広い世界で日本という国に生まれ、その日その会場でみなさんと出会うという奇跡。出会ってくれて、ありがとうという気持ちを伝えるステージにしたい」と話す。