SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
作家の三浦しをんさんと中村うさぎさんの対談集「女子漂流 ーうさぎとしをんのないしょのはなしー」(毎日新聞社)が出版された。同書の中で“女子力”の王道を走ってきた中村さんと“女子力”を希求するフリをそろそろやめたいと考える“隠とん女子”の三浦さんという正反対の2人が「女子の生きづらさ」についてとことん語り合っている。「こじらせ女子」という言葉が今年の「新語・流行語大賞」にノミネートされるなど、世間で求められる女性像に違和感を持つ女性が話題を集めている最近の傾向について、三浦さんに学生時代のエピソードや“女性の”作家としての苦悩など「女子の生きづらさ」について聞いた。(毎日新聞デジタル)
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三浦さんと中村さんはともに中高一貫の女子校出身。同書のタイトルとなっている「漂流」という題名は、いくつものグループが、互いにあまり交流もなく、島のように個別に浮かんでいる感じだったという女子高内での様子から付けられている。“派手グループ”に所属していたという中村さんと“地味でマンガばかり読んでいる”グループだったという三浦さんだが、三浦さんは中村さんの印象を「とても聡明で、人に気を使う人。お話しすればするほど他者に寛容だと思った」といい、その印象は、中村さんの著作をこれまでもずっと読んできて、会う前と会った後で「変わらない」という。「うさぎさんは毒ははくけれど、考え方が異なる人のことも丁寧に分析する。自分にとっての他者に寛容だと思った」といい、「私は他者への寛容に欠ける。反省しました」と振り返る。
中学・高校はマンガや小説を読んで過ごしたという三浦さんは「女子校は嫌だった。合わなかった」と学生時代について語る。三浦さんが通っていた女子校は進学校であると同時に良妻賢母教育でも知られ、「いい大学に進学しても働かずに家庭のことをするの? おかしくない?」と疑問があったという。三浦さんは「女性の方が男性よりも選択肢が多い」と指摘し、「男性は勉強していい大学、いい会社に入れば女性もついてくる。女性は経済的にも自立した女性になれ、でも良妻賢母にもなれという両立するのは難しいことを求められる。互いに協力するものなのに、女性はどちらも完璧にと求められがち」なことが女性を追い詰めていると考えている。
同書にも「女子は捨てた選択肢に常に復讐(ふくしゅう)される」というドキッとする中村さんの発言が登場する。「(女性は)結婚するかしないか、子供を産んだら仕事をやめるのか、続けるのか。選択を求められ続ける。考えなければいけないポイントが多い。自分の選ばなかった道を行っている女性に対し、私もこうなれたのかなと思いながら生きていかなきゃいけない」という女性ならではの生きづらさを指摘する。
直木賞作家で出す作品は次々とベストセラーになり、映像化もされるほど人気作家の三浦さん。仕事の面では「女子の生きづらさ」を感じることは、それほどないのでは? 「それ(圧力)は絶対ありますよ」と三浦さんはキッパリ否定する。「フリーだから会社内のおじさんがうるさいとかそういう苦労はないけれど、女性の書き手は容姿について必ず言われます。男性はあまり言われないのに。(女性が)こんなことを書いて下品とか。小説は顔面で書くんじゃない、パソコンで書くんだと(言いたい)。『女が書くものだから男が書けていない、しょせんはファンタジーだ』とか言われたり……。これについては男性作家も、『女が書けてない』と言われるのかもしれません。書き手の性別を前提とする考え方はなかなかなくならないでしょうし、書き手自身も自分の性別から自由になりきれるわけではありませんから、難しい問題ですね」と苦悩を明かした。
三浦さんの小説には人から変わり者と言われながらも自分の道を探究する人物や世間からちょっと外れたアウトサイダーが多く登場するが、それは世間がもてはやす生き方から外れたりこぼれ落ちたりする人々への温かいまなざしが含まれている。「私は世間でこうあるべきだと思われている人間関係に興味がないんです。世間が求めるものにうまく乗れる人がもしいるとしたら、『そのままの君でいて』って思う。そういう人たちのことは物語にする必要性を感じない。社会にうまくなじめない、どうも自分は寂しい気がするという人のことを、どうしてそうなるのかなということを考えたいし、そういう人たちが抱いている物語を書きたい」という思いが三浦さんを突き動かしている。
最後に、同書をどんな人に読んでほしいか、と聞くと「頑張りすぎて疲れたと思っている人がお読みになって、うさぎさんと私みたいに“漂流”していいんだ。勝手なこと言ってもいいんだと気楽になってもらえたら」とメッセージを送る。そして「男性が読んで、怒りを感じたらそれはうさぎさんに言って(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに笑った。「女子漂流 ーうさぎとしをんのないしょのはなしー」は1200円で発売中。
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