WOWOWは、毎週金曜午後10時に「ノンフィクションW」枠を設け、オリジナルのドキュメンタリー番組を放送中だ。この枠では、見る人を新しい世界へと誘うフルハイビジョンの“ノンフィクションエンターテインメント”番組をWOWOWプライムで毎週、テーマを変えて放送している。1月10日に放送される「映画『仁義なき戦い』を書いた男 脚本家・笠原和夫 創作の記録」を担当したWOWOWドラマ制作部の高嶋知美プロデューサーに番組の魅力を聞いた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−番組の概要と魅力は?
日本映画史に残る傑作として名高い「仁義なき戦い」シリーズは、公開されて40年たちますが、劇中に登場するヤクザたちの新鮮な魅力と迫力あふれる映像で、今なお新たなファンを獲得している稀有(けう)な人気シリーズです。この型破りな物語の骨格を作り上げるのに格闘し、最初の4作の脚本をわずか1年で書き上げたのが、脚本家の故・笠原和夫さんでした。深作欣二監督に「直すところ、一行もありません!」と言わしめたという笠原さんの脚本ですが、登場人物のキャラクター、せりふ、劇中で描かれたエピソードなどは、執拗(しつよう)なまでの綿密な取材に基づいて作り上げられたものでした。当時の笠原さんの心情は、秘蔵の日記に細かく書き込まれています。番組では笠原さんの創作の記録を、その秘蔵日記や取材メモ、関係者の証言でひもといていきます。「仁義なき戦い」シリーズのファンの方々のみならず、初めてこのシリーズをご覧になる方々にも大変興味深い内容になっていると思います。
−−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?
私はドラマの制作を担当していますが、映画やドラマにとって脚本の重要性はいうまでもありません。脚本を書くにあたっての取材や調査、何を選び、何を捨てるか、登場人物たちのせりふ一言の細部に至るまで、脚本家は綿密な取材、構成と計算をし尽くしてこの壮大で孤独な作業に没頭しなければならないわけです。「仁義なき戦い」シリーズを書いた笠原さんはどのようにしてこの作業に挑み、そして何を導き出したのか? どうしてこのシリーズが人々の心をつかんでやまないのか? その秘密に迫りたいというのがこの番組企画の始まりでした。
−−番組を作る上でうれしかったことは?
今回は笠原眞喜子夫人に、笠原和夫さんが残された貴重な資料や秘蔵日記を番組のためにたくさん貸していただきました。資料や日記の量のぼう大さもさることながら、そのすべてが几帳面(きちょうめん)に保存されていたことに本当に驚きました。東映さんにも映像資料や当時の写真などをご提供いただきましたし、笠原さんについては眞喜子夫人や、プロデューサーの日下部五朗さん、助監督を務めた土橋亨さん、俳優の北大路欣也さんほか、脚本家・高田宏治さん、笠原さんに関する著書がある脚本家・荒井晴彦さんやシリーズ関連の著書のあるマンガ家の杉作J太郎さん、日本映画史研究家の春日太一さんに語っていただきました。撮影当時のエピソードなどは特に非常に興味深いものでした。
−−番組の見どころを教えてください。
脚本作りへの執念がはっきりと見て取れる数々の資料や日記から、笠原さんが「仁義なき戦い」に込めた深い思いが伝わってくると思います。笠原さん自身の生い立ちや戦争体験が「仁義なき戦い」の脚本には色濃く反映されています。「仁義なき戦い」という作品がもつ力強さ、優しさ、あやうさ、切なさはどこからやってきたのか? 改めてその魅力を一緒に感じていただけるとうれしいです。
−−視聴者へ一言お願いします。
WOWOWでは1月に「仁義なき戦い」シリーズ全11作品を一挙放送いたします。この笠原さんのドキュメンタリーと併せてお楽しみいただければと思います。
WOWOW ドラマ制作部 プロデューサー 高嶋知美
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