注目映画紹介:「劇場版 薄桜鬼 第二章 士魂蒼穹」史実と脚色が融合 新選組の熱い生きざま描く

(C)IF・DF/「劇場版薄桜鬼」製作委員会
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(C)IF・DF/「劇場版薄桜鬼」製作委員会

 「薄桜鬼」シリーズの劇場版アニメ第2作「劇場版 薄桜鬼 第二章 士魂蒼穹」(ヤマサキオサム監督)が8日に公開された。「薄桜鬼」は、新選組がモチーフの恋愛アドベンチャーゲーム「薄桜鬼 新選組奇譚」が2008年に発売されて以降、テレビアニメやミュージカル、ノベライズなど数多くのメディアで作品化され人気を集めているシリーズだ。昨年、劇場版アニメ第1作「劇場版 薄桜鬼 第一章 京都乱舞」が公開された。2部作で描かれる劇場版最新作は、新選組と生き抜く決意をした少女・雪村千鶴の姿と、戦い続ける新選組や土方歳三ら隊士たちの行く末を描いている。

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 鳥羽伏見の戦いから撤退した新選組は、甲陽鎮撫隊として甲府に向かう。戦況が悪化する中で、方針などに食い違いが生じ、新選組を離れて別の道を選択する隊士も出始める。自らに“秘密”を抱える千鶴(声・桑島法子さん)は、どんなに苦しく険しい道のりでも新選組と行動を共にすることを決心。一方、北上しながら転戦を続けていく土方(声・三木眞一郎さん)もある決意を固めた……という展開。

 新選組という史実の中に、日本古来の“鬼”や西洋の吸血鬼を思わせる設定の“羅刹(らせつ)”という脚色のピースが見事にはまったドラマチックな展開は、第1章と同じく鬼気迫るものがある。時代が大きく変動する中で、同じ方向を向きながらも袂(たもと)を分かつなど、新選組隊士たちの心情が変わっていくさまを見ていると胸に熱いものがこみ上げてくる。特に土方と近藤勇が互いに思い合いながらも同じ道を進むことができない場面などは涙なしでは見られないほどだ。基になった恋愛アドベンチャーゲームの要素もちりばめられつつ、クールな熱さを感じさせる世界観は心をわしづかみにされる。男たちの熱い生きざまに言葉はいらず、ただただ圧倒される。2部作で完結ということだが、各登場人物たちにスポットを当てたスピンオフやサイドストーリーも見てみたい。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。また、公開に先がけ2月26日に第1章の映像作品が発売された。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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