宇宙戦艦ヤマト2199:出渕監督に聞く オファーは「天命」

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 1974~75年に放送され、社会現象を巻き起こした名作アニメ「宇宙戦艦ヤマト」を38年ぶりにリメークしたアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」の劇場上映版の全7章が6日からWOWOWプライムで3週にわたって放送される。オリジナルの大ファンで「2199」の総監督を務めた出渕裕監督に同作と、今年の晩秋に公開を予定している「ヤマト」シリーズの新作劇場版アニメについて話を聞いた。

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 ◇「2199」のオファーは「青天のへきれき」

 「宇宙戦艦ヤマト2199」は、1974~75年に放送された「宇宙戦艦ヤマト」のアニメ第1作をベースにリメーク。「ヤマト」シリーズのプロデューサーを務めた故・西崎義展さんが原作を手がけ、全26話の新作アニメーションとして制作され、2013年4~9月に放送された。劇場版は全26話を7章に分け、テレビ放送に先駆けて、12年4月から全国の劇場で上映。今回はその劇場上映版がWOWOWプライムでテレビ初放送される。

 もともと「ヤマト」の大ファンだった出渕監督は、「2199」のプロジェクトのオファーを受けたのは「青天のへきれきだった」と明かしながらも、「『天命かな。これはやらないといけない』と。あえて“火中のクリ”を拾う心境だった」と当時を振り返る。「ヤマトができるのはとにかく楽しかった。自分が楽しいと思っていると、作品にもそれが出てくるんだなと思った」としみじみと語る。

 ◇劇場上映版は「章ごとに違う味わい」

 「(13年の)テレビ版から今作に入った方には特に見ていただきたい。本当に違いますから。意図したわけではないんですが、劇場上映版は全7章がいい形でまとまった。章ごとにアプローチ、切り口が違っていて、章ごとに味わいも違う。まとめて見るには非常に見やすくなっている。もちろん計算はしたんですが、ここまでカチッとはまるとは思っていなかった」と自信をのぞかせる。

 さらに、「テレビシリーズでは時間の問題でカットした部分があるんですが、劇場版では見られますし、音楽の入り方も違います」と説明し、「劇場版は自分たちがこうしたかったというものがピュアな形で出ているので、そういう部分も含めて見てもらいたいですね」と語る。

 ◇ヤマトを再発見してほしい

 新作の劇場版アニメについては「2199というテレビシリーズを終えることが主眼だったわけですから、『宇宙戦艦ヤマト2199』を評価していただけてホッとしました。だからその後に劇場版をやることになり、まだまだ先が見えない感じですね」と胸中を明かす。「ほぼ新作なので(作業に費やす)カロリーは減っていない、というのが現状なんですが、とにかく楽しみにしていただければと思います」と期待をあおった。

 同作は詳細こそ明かされていないものの、広大な宇宙をバックにヤマトが描かれたポスターは公開されている。出渕監督は「『2199』というのは年号。後ろに見えているのは『大マゼラン』です」と説明。「実はヤマト自体をモデリングし直しています。劇場用にもう少し緻密にやろうということで、細かい部分で直しを入れたり、ディテールを足していたりするので、そういうところも見どころではあると思いますね」と明かした。

 「ヤマトは時代を変えた作品、歴史的な作品なんです。歴史を大きく変えた転換期みたいなものに立ち会えると思うので、『2199』を見てから、ぜひオリジナル版も見てほしい」と“ヤマト愛”をあふれさせた。さらに「ヤマト」を見たことがない人には「古いものだからという“食わず嫌い”があるなら、先に今の技術で作ったものを見て興味を持ってほしい。そしてオリジナルを“アニメ考古学”として再発見してほしいですね」と呼びかけていた。

 「宇宙戦艦ヤマト2199」の劇場上映版は、WOWOWプライムで6日午後3時から「第一章 遥かなる旅立ち」、「第二章 太陽圏の死闘」、「第三章 果てしなき航海」を連続で放送。13日午後3時から「第四章 銀河辺境の攻防」と「第五章 望郷の銀河間空間」、20日午後3時から「第六章 到達!大マゼラン」と「第七章 そして艦は行く」を放送する。

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