SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第1回は、小新井さんがアニメオタクになったきっかけについて語ります。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
私がアニメに初めて触れたのは幼稚園に入る前。近所で借りたアニメビデオが最初でした。ディズニーの短編映画や「ノンタン」に始まり、「GS美神」や「万能文化猫娘」なんかにも手を出していたちょっとマセガキ小新井さん。その流れは止まることなく、幼稚園から小学校へ上がってもレンタルビデオ店のアニメコーナーを端から端まで、お茶の間のテレビでも家族の許可が取れる限りずっとアニメを見ていました。
そんな自分がアニオタだと自覚するきっかけとなったのは、小学校のころに出会った「デ・ジ・キャラット」という作品でした。少ないお小遣いをためてVHSを買ったり、お年玉で「でじこの人生ゲーム」を買ったり……。埼玉県の奥地に住んでいる私に秋葉原やアニメイベント、同人活動やアニメショップへの憧憬(しょうけい)を抱かせたのもこのアニメでした。
しかしそのころ、同時にある事実に突き当たります。「あれ? なんかもう周りのみんなアニメとか見てなくね?」。そう、小学校高学年以降に訪れるというあの“第1次アニメ離別期”の到来です……! 同級生たちは流行のアイドルやドラマに夢中で、いつまでもアニメを見たりアニメグッズを持っている子に冷たい目を向け始めます。
ひええ、くわばらくわばらー!と思いつつ、それでもアニメが大好きだった小新井は、そこで初めて“隠れオタク”へとジョブチェンジを果たし、あたかも「アニメってなあにおいしいの?」的な一般人への“擬態化”を習得したのです! そこから中学、高校1年まではひっそりとアニメをたしなむいわゆる“アニオタ的冬の時代”が続きました。
しかし幸運なことに、私の“冬の時代”に、ネットの普及に「電車男」のヒット、“しょこたん”こと中川翔子さんの登場と、アニオタへのイメージが大きな転換期を迎えました。それまでの蔑称ではなく、アイデンティティーとしての「アニメオタク」のイメージも日本中に広まりました。それまでの劣等感を捨てて、堂々とアニメが好きだと言える「オープンオタク」へと進化したことで私の“冬の時代”は終わりを告げたのです。
オタクカミングアウトの決意は、高校以降に私を受け入れてくれたたくさんの学友に恵まれたことも大きかったと思います。高校生のころに「創聖のアクエリオン」がはやっていたのですが、思い切って合唱コンクールの課題曲に提案してみたところ、クラスメートが予想外に乗り気で支持してくれたことがありました。
そして最終的に、楽譜もないこの楽曲を生徒が耳コピで4部合唱の譜面に起こし、放課後に集まってみんなで練習し、天使をイメージした白い衣装を全員で用意して、全校生徒の前でアニソンの「Genesis of Aquarion」を大合唱してみせたのです。
自分がオタクということを卑屈に思い、校内イベントへの参加も消極的だった私ですが、この瞬間、アニメ好きな私を受け入れてくれたクラスメート達のおかげで、自分自身でも「好きなものを好きと言える自分」を認められるようになりました。合唱を録画したDVDは今でも私の宝物です。
……と、ここまでなら結構いいお話なのですが、その後調子に乗った私は今までの反動とばかりに人生をアニメに捧げ始めます。キャンパスが秋葉原に近いからという理由で、明治大学への受験を決めたり、夢の秋葉原でバイトをしつつそこで稼いだバイト代は秋葉原で落とすという“アキバエコノミー”のシステムに組み込まれてみたり、大学では講義内容を無理やりアニメと絡めたテーマでリポートを作成してたり……。ああ、何もかもみな懐かしい……。
そんな好きなものをとことん楽しめる方へ進んできた私が、大学卒業後の進路をアニメ関連のものにしたいと思ったのはごくごく自然な流れでした。純粋に「アニメキャラになりたい」という気持ちをもとに目指したのは声優さんという職業。しかし養成所でも所属させていただいた今の事務所でも、なかなかアニメの声を演じるというお仕事には到達することができません。それどころか普通のオーディションでさえも「河森正治さんデザインのメカのパイロットになるのが夢です!」と言ったり、「願いがひとつかなうなら二次元に行きたいです(真顔)」と言ってみると、スタッフの方々からは素晴らしいポカン顔とともに「あ、うん、もういいよありがとー」とさよならされることもしばしば……。
これはなんとかしないと声優さんになるどころか、アニメ関連のお仕事もできなくなっていく!? そう危機感を感じた私は「アニメ好きです!」と言った時に、その本気度が伝わりやすいことをしようと、「放送中のアニメ全部見ます」宣言をするとともに毎週100本ものアニメの視聴を開始したのです。
すると、ありがたいことに初めは個人的な課題として続けていたこの活動がもとで「アニメにくわしいなら……」と、MCやパーソナリティーのお仕事をさせていただいたり、アドバイザーや講義などでのお話をする機会をいただけるようになりました。このコラムも、そんなアニメがつないでくれたご縁の一つです。
こうして新しいお仕事やご縁で巡り合う方々と話していくうちに、「声優さんという形では関われなかったけれど、それ以外にも私にしかできない方法でアニメと関わっていくことができるかもしれない」と思いはじめました。
こうして、オタクなタレント=“オタレント”と名乗り、アニメの知識を生かした活動を続けつつ、さらに大好きなアニメの研究を本格的に極めていこうと今では大学院での研究を目標に受験勉強中でもあります。
と、ここまでで長々と“オタレント”の小新井涼が生まれるまでの四半世紀を振り返ってきたわけですが、お分かりのようにまだまだやっとスタートラインに立てたかな?という段階です。
先日見た「はじめの一歩Rising」で青木さんのこんなせりふがありました。「有名になりたいんじゃない。大好きな世界で『何かやった』って形に残るもんが欲しいんだ!!」。ここからどうやって自分なりのアニメとの関わり方を見つけていくのかは今後の自分のがんばり次第です。葛藤しつつも大好きな世界に残せる「何か」を必死で探す姿を、このコラムを通して見守っていただけたらうれしいと思います。あ、有名にはちょっとなりたいですけどね!笑
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された芥見下々(あくたみ・げげ)さんの人気マンガ「呪術廻戦」のコミックス29巻、最終30巻が12月25日に発売されることを記念して、24日の毎…
人気アニメ「忍たま乱太郎」の新作劇場版アニメ「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」が12月20日に公開され、先行上映を含む累計興行収入が約2億9000万円を記録したこ…
劇場版アニメ「時をかける少女」「サマーウォーズ」「竜とそばかすの姫」などで知られる細田守監督の約4年ぶりとなる新作劇場版アニメ「果てしなきスカーレット」が制作され、2025年冬に…
「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中のマンガが原作のテレビアニメ「葬送のフリーレン」のポップアップストアが、2025年1月17日から池袋パルコ(東京都豊島区)、福岡パルコ(福岡…
東宝の2025年の配給作品ラインアップ発表会が12月23日、TOHOシネマズ 日比谷(東京都千代田区)で行われ、2024年の興業収入などが発表された。市川南取締役専務執行役員は、…
2024年12月24日 08:00時点
※TVer内の画面表示と異なる場合があります。