注目映画紹介:「小川町セレナーデ」 安田顕のオネエぶりとスナックの魅力が詰まった心温まる物語

(C)2014「小川町セレナーデ」製作委員会
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(C)2014「小川町セレナーデ」製作委員会

 女優の須藤理彩さんが主演を務め、俳優の安田顕さんが初めて“オネエ”の役を演じることで話題の「小川町セレナーデ」(原桂之介監督)が4日に公開される。映画は、とある町のスナックを舞台に、母が経営するスナックが借金のため閉店間際と知った娘が、店を立て直すべく奮闘する姿を描く。須藤さん演じるスナックのママをはじめ、常連客ら個性的だがどこかにいそうな登場人物たちが、笑えてほんわかとする心温まるストーリーを展開していく。

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 とある町にたたずむ「スナック小夜子」は、どこか懐かしい雰囲気を持ち、毎夜、常連客が訪れる。スナックのママ・真奈美(須藤さん)はシングルマザーとして娘の小夜子(藤本泉さん)を育てていた。高校卒業後に東京で一人暮らしをしていたが実家へと戻ってきた小夜子は、店が借金だらけで閉店間近なことを知り、隣町で大人気のオカマバー「シャープ」をまねて“偽オカマバー”として再起を決意。真奈美に猛反対された小夜子は、母の昔の友人で、オネエのエンジェル(安田さん)に助けを求め……という展開。

 オネエに扮(ふん)しているけれど本当は女性、オネエなのに父親と個性的すぎるほど濃いキャラクターがこれでもかと出てくる。好き嫌いは分かれそうな設定だが、いざ見てみると、おかしくて楽しい中にハートウォーミングな物語が織り込まれ胸がジーンとさせられる。“偽オカマバー”という意表を突く発想を軸に物語は進み、場末のスナックの持つ独特の魅力や母親のたくましさ、男と女に加えてオネエの持つパワーなどをメランコリックに描きつつ、それぞれのよさを引き出している。人はいろいろなものを背負って生きていることを改めて考えさせられ、家族の大切にも気付かせてくれる。もちろん、新境地を開いた安田さんのオネエぶりは絶妙で、映画内での源氏名の“エンジェル”がピタリとはまっている。角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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