“アイドル戦国時代”と呼ばれて久しいが、2014年は福岡のアイドルグループ「Rev.from DVL」の橋本環奈さんが話題になったほか、アイドルとメタルの融合を目指す異色の女性アイドルグループ「BABYMETAL(ベビーメタル)」が海外で人気を集めるなど活躍を見せた。橋本さんとベビーメタルがブレークした経緯には“ネット発”という共通点があるようだ。“ネット発”をキーワードに15年にブレークが期待されるアイドルを探った。
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「AKB48」「ももいろクローバーZ」のようにスタジアム級の会場で数万人のファンを集める大人気アイドルグループが存在する一方で、日本武道館での単独公演を目指すグループがひしめく……というのがアイドル戦国時代の現状だ。AKB48から、CDを手売りする“地下アイドル”まで取材し、アイドル情報番組なども手がけるアイドルジャーナル社の楠山幸英編集長は「たくさんのアイドルグループが生まれる中、3000人程度の会場を埋めるのが限界になっているグループも多い。実際に武道館でライブをやってみると、半分も埋まらなかった……というケースもあるようです。ファンの目も肥えてきているので、新規のファンを獲得するのが難しいのかもしれません」と分析する。
そんな中、大ブレークしたのが橋本さんとベビーメタルだ。橋本さんは、13年末にインターネットで踊っている写真がアップされると“天使すぎる”などと絶賛する声が集まり、その後、テレビ出演が急増。ベビーメタルはもともと国内でも人気だったが、動画共有サイト「YouTube」で公開されているMV(ミュージックビデオ)が海外でも話題になり、14年は欧州や米国でツアーを行ったほか、レディー・ガガさんの米ツアーのサポートアクトを務めた。橋本さんとベビーメタルは、ブレークの形こそ異なるが“ネット発”という共通点があり、楠山編集長は「テレビや雑誌発ではなく、ネットで人気になり、活動の幅を広げるというモデルを作った」と話す。
楠山編集長は、橋本さんのような“ネット発”のブレークに必要な条件について「橋本環奈が注目されたのはルックスのよさ。写真写りのよさや見た目が大事になってくる」と分析。15年に注目しているアイドルとして、北海道出身で東京を中心に活動する吉田凜音(よしだ・りんね)さんの名前を挙げる。吉田さんは昨年11月にメジャーデビューするなどメディアの露出が増えており、楠山編集長も「14歳と若く、可愛さがあり、ネットで“可愛すぎる”などと注目されそう。地元・北海道だけでなく、東京でもライブを行っていて、東京のファンも獲得しつつある」と期待しているようだ。
ベビーメタルは、メンバーが中学3年の3月になると卒業するというルールのアイドルグループ「さくら学院」の派生ユニットで、アイドルとメタルというありそうでなかった組み合わせや派手なライブパフォーマンスが人気を集めている。楠山編集長は12年ごろからベビーメタルに注目していたというが、海外でのブレークについては「ここまで大きくなるとは正直、予想していなかった」という。
楠山編集長は、ベビーメタルの成功を「狙ってできるものではない。ほかのアイドルが追随するのが難しいかもしれない」と分析。ベビーメタルのように海外でも人気を集めそうなアイドルグループについて「レディー・ガガと共演するレベルのブレーク……となると予想が難しい」と前置きしながら「デスラビッツ」の名前を挙げる。
デスラビッツは、メタルやハードコアをテーマとしたアイドルグループ。ベビーメタルと同じようなコンセプトに見えるが、大川柚さんら3人の女の子に加え、神崎晃部長という男性プロデューサーがメンバーという変わり種だ。神崎部長は、映画「スターウォーズ」シリーズの人気キャラクターのダース・ベイダーのようなかぶり物を身に着けて“デスボイス”を発するなど激しいパフォーマンスを行う。楠山編集長は「デスラビッツは、神崎部長の存在などアニメっぽいところもあって面白い。海外ウケもよさそう」と注目しているようだ。
楠山編集長が「アイドル戦国時代が落ち着いてきた……というわけではなく、乙女新党、夢見るアドレセンス、たこやきレインボーなど期待のグループはまだまだありますよ。“ソロの時代”がくるとも言われていて、元さくら学院の武藤彩未のようなソロアイドルも注目です」と話すように、ブレークが期待されるアイドルは枚挙にいとまがない。今年も“ネット発”シンデレラストーリーを歩むアイドルが登場するのか? アイドルブームの今後が注目される。