響け!ユーフォニアム:異色の吹奏楽アニメの裏側 京アニ監督が語る

「響け!ユーフォニアム」のビジュアル(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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「響け!ユーフォニアム」のビジュアル(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 「けいおん!」など数々のヒットアニメを生み出してきた「京都アニメーション」の新作テレビアニメ「響け!ユーフォニアム」の放送がスタートした。高校の吹奏楽部員の青春をテーマに、ダイナミックな演奏シーンや高校生の繊細な心の動きが描かれている。吹奏楽は部活の定番ではあるが、これまで、吹奏楽をテーマとしたアニメは意外に少ない。「演奏シーンをアニメーションにするのが想像以上に大変(笑い)」と明かす京都アニメーションの石原立也監督に制作の裏側を聞いた。

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 ◇大勢の演奏シーンと楽器の構造の複雑さに苦労

 アニメは、武田綾乃さんの小説「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」(宝島社)が原作。北宇治高校の吹奏楽部を舞台に、新しく赴任した顧問の厳しい指導の下、主人公・黄前久美子ら吹奏楽部員が成長する姿が描かれている。

 石原監督が原作を読んで、まず感じたのは「物理的にアニメーションにするのが大変だな……」ということ。バンドが登場するアニメは多いが、吹奏楽をテーマとしたアニメはほとんどない。吹奏楽の演奏シーンをアニメで表現する難しさについて、石原監督は「いろいろな人間がいろいろな楽器を演奏する。1、2人が楽器を演奏するわけではないので、複雑で描くのが難しい。楽器の構造が複雑なのも大変」と語る。レバーなどさまざまなパーツで構成されているサックスの場合は「オートバイや石油コンビナートを描くようなイメージ」だという。

 また、石原監督は楽器の演奏経験がほとんどないといい、「経験者が見て不自然にならないようにしなければならない」という思いから、大手楽器メーカー・ヤマハの協力を得て、楽器を集めたり、吹奏楽のコンクールを取材するなど研究を重ねた。幸い、京都アニメーションのスタッフには、吹奏楽の経験者がいたことから、社内でも細かくチェックを重ねながら、なるべく“ウソ”がないアニメを目指した。石原監督は「大変なのは分かっていたけど、想像以上でした(笑い)」と制作の苦労を明かす。

 ◇描きたいのは人間ドラマ

 吹奏楽という異色のテーマということもあり、演奏シーンばかりが注目されそうだが、石原監督は「描きたいのは人間ドラマ」と強調する。原作小説では、キラキラした青春ストーリーと共に吹奏楽部員の心の葛藤も描かれている。石原監督は「リアリティーのある高校生活を描きたい。可愛い、きれい、面白いばかりではなく、『本気になるっていいよね!』という部活ものならではの熱さも表現したい。キラキラしているけど、ドロッとした感じもあるのが魅力」と話す。

 また、アニメでは、吹奏楽部員の心の動きが、キャラクターの動き、表情などの変化によって繊細に描かれており、石原監督は「楽器を吹く前のちょっとした表情や、繊細な演出は(シリーズ演出の)山田(尚子)さんに助けられています」と語る。少女マンガのような繊細な心理描写は、女性にも人気になりそうだ。石原監督は女性ファンを「吹奏楽部は女子部員も多いですし、意識はしている」と話しつつ、「アニメファン以外の方も見ていただければ」と話していた。

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