注目映画紹介:「シンデレラ」 現代的ヒロイン像に好感。舞踏会シーンにうっとり

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 ディズニーの不朽の名作アニメーションを実写化した「シンデレラ」(ケネス・ブラナー監督)が25日から全国で公開される。「ダウントン・アビー~貴族とメイドと相続人~」のリリー・ジェームズさんと、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデンさんという、ともにテレビドラマでブレークした2人がシンデレラと王子を演じる今作は、原作から表面的には大きなひねりは加えていないが、だからこそ見る者の胸に直球で迫ってくる作品だ。

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 早くに母を亡くし、貿易商の父も旅先で帰らぬ人となったエラ(ジェームズさん)は、父の再婚相手のトレメイン夫人(ケイト・ブランシェットさん)とその2人の娘(ソフィー・マクシェラさん、ホリデイ・グレインジャーさん)に召使同然にこき使われる。あまりの仕打ちに耐えられなくなったエラは、あるとき森に馬を走らせ、そこで“キット”(マッデンさん)と名乗る青年に出会う。城で“働いている”という彼に好意を寄せるエラだったが……という展開。

 当然ながら、見どころはフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム・カーターさん)の魔法によってエラが変身するシーン。カボチャが馬車に、ネズミが馬に、さらにエラのドレスが美しい水色のドレスに変化するときのワクワク感といったらない。また、水色のドレスのドレープが流れるように動く王子とのダンスシーンには、女性なら誰もがうっとりせずにはいられないだろう。シンデレラ像に「自分の決断で幸せを切り開いていくヒロイン」という現代的なアレンジがなされており、継母の内面や王子と王(デレク・ジャコビさん)の関係に触れているところに好感が持てる。下卑(げび)た笑い声をあげる、ブランシェットさん演じる憎らしい継母と、相変わらずの“化けぶり”に感心させられるボナム・カーターさん演じる魔法使いが物語のいいアクセントになっており、加えて、エラが可愛がるネズミ一家のキュートな“演技”にも心が和む。新作短編アニメーション映画「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」が同時上映。25日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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