M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
福士蒼汰さん、本田翼さんらが出演している放送中の月9ドラマ「恋仲」(フジテレビ系)の主題歌として、ドラマの切なさをより引き立てるシンガー・ソングライター、家入レオさんの「君がくれた夏」が19日にリリースされた。家入さんに、新曲について、また夏の思い出について聞いた。
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――月9ドラマの主題歌は2回目だそうですね。
はい。これは俳優さんにとってもそうだと思いますが、ブランド枠といいますか、数々の有名な作品が出ているので、月9というだけでモチベーションが上がります。
――今回の曲の制作はどんな感じでしたか。
これまで担当させていただいた主題歌の中では、すごく身近な内容だったので、わりとすぐイメージが浮かびました。以前に刑事ドラマの主題歌を担当させていただいたときは、刑事になったことがないので、自分の気持ちをどうリンクさせるかで悩んだんです。今回は、上京してきてからの気持ちだったり、友情だったり、社会に対してだったり、いろんな波にもまれながら少年が大人に成長していくストーリーで。私自身も去年12月に20歳になって、周りの友達も就職活動を始めていたり、今の私に起きていることが、そのままドラマになっていると感じました。大人になることへの喜びと、大人になるための最後の一歩を踏み出すときの切なさみたいなものが、ギュッと詰まったドラマだと感じました。
――ドラマの主題歌を制作する際に最も重要視するのは、いかに主人公と気持ちをシンクロさせるかということですか。
そうですね。ただ、楽曲は私の作品でもあるので、あまりドラマに寄りすぎて私という色が消されてしまってもダメで。それに、歌詞全部がドラマのことに当てはまってしまっているのも、ハッとさせられる瞬間がないと面白くないと思って。「Nのために」というドラマの主題歌「Silly」を作らせていただいたとき、プロデューサーの方から「曲でドラマの起承転結を全部いわれてしまったら、何話もかけて作るドラマの意味がなくなってしまう。だから全部をドラマに合わせなくてもいい」といわれたときに、ハッとさせられました。それで極端なことをいうと、まったく違うことを歌っている中で、一瞬だけドラマと通じたワードが出てくるくらいの方が、ハッとさせられるし面白いと言ってもらえると思って。実際にこのときは、瞬間的に自分の曲が広がっていく実感もあったし、ドラマの力をすごく感じました。今回も、そういうふうになったらいいなと思って作りましたね。
――今回の「君がくれた夏」は、爽やかな中に夏の終わりのような寂しさも同時に感じられる曲になりましたね。
夏というのは、非日常のことがたくさん起こる季節だと思います。たとえば新学期が始まると、すごく成長している子がいたじゃないですか。きっと夏に何かがあったんだろうなって。夏というのは、普段は行けないようなところに行ったり、普段は話さないような人とも話すことで、感情が潤う経験をたくさんすると思うんです。そういうときに人は成長するし、ハッとさせられるし、前に進む手がかりを見つける気がしていて。それは言い換えると“気づいてしまった切なさ”ともいえると思います。それが、おっしゃっていただいたように、夏の終わりの切なさとも似ていると思ったので、アレンジ面において、耳から感じられる秋というものを意識しました。なので、「君がくれた夏」といいつつも、どこかで夏の終わりの感じがあるものになったと思います。
――バラードとミディアムの中間のようなテンポで、音も曲の構成もすごくシンプルですね。
ドラマのプロデューサーの方はバラードを求めていたのですが、あまりバラードっぽくなりすぎるのも私らしくないと思って。メロディー自体はいつものようにとがっているのですが、歌い方の面で、ガツガツせずにブレス(息)を多めで歌うことで、バラードのような切ない印象を出すことができました。たとえばサビでタイトルのフレーズを歌うところは、いつもなら声を張る感じですが、今回は力を抜いて息を多めに出しています。聴いている方にとっては、来るぞ、来るぞと思っているところでパッと肩すかしを食らうみたいな。手に入れたいものが手に入らないときの悲しさのような、そういう歌い方をしています。
――「教室の片隅で」というフレーズがドラマを彷彿(ほうふつ)とさせるし、一瞬パッと音がなくなるのがドキッとさせられますね。
ドラマの第1話が、学生時代の回想シーンから始まっているので、ここは大切なシーンだと思って。ここでハッとしていただけたらと思いました。また、音をミュートさせることで、切なさをよりグレードアップさせることができたと思います。
私は臆病なので、常に永遠を求めていたというか。今がずっと続いていけばいいなと思う瞬間がたくさんあるのですが、結局、永遠というのは終わったものにしか存在しないんだと感じたとき、教室は私にとって永遠であるように思えました。以前は教室の歌を書くと「どうしてここにいなくちゃいけないんだ?」という強い気持ちを並べることが多かったのですが、卒業してからというもの、もう一度あのころに戻りたいと思うようになってしまって。そういう気持ちの変化もあってか、懐かしむということが、永遠を感じるということなのかなって。
――そんな家入さんの学生時代の夏の思い出は?
福岡にいたころは、夏休みの間にも課外授業がある学校だったんですけど、授業終わってみんなで制服のまま海に飛び込んだりしていましたね。それで、服を乾かしながらブラブラ帰るという。すごく青春でした。またあのころに戻れたらいいな、と思いますね。上京してデビューしてからは、夏といえば夏フェスです。普段の制作は、ずっと地下にこもっているような生活なので、青空の下で歌えて、おいしいものもたくさんあって最高です!
――ところで、髪形が変わりましたね。また短くなりました。
20代に入って、もっともっとファイティングポーズを取っていかないとなというところで、ばっさり切っちゃったんです。以前は意外と胸当たりまではあったので、半分以上切った感じですね。短いのは本当に楽でいいですよ。ドライヤーも3分で乾いちゃうし。私、ドライヤーかけている時間があるならベッドに入りたいと思うタイプなので。でも、まずはこういう女子力のない発言をどうにかしないといけないですね(笑い)。
――女子力を高めていきたい?
それもまあそうですけど、今は音楽力の方をもっと高めていきたいです。
<プロフィル>
1994年12月13日生まれ、福岡県出身。15歳のときに作った「サブリナ」で2012年にデビュー。これまでに「miss you」「純情」などシングルをリリース。15年2月に3枚目のアルバム「20」を発売した。9月5日に宮崎で開催される「FREEDOM aozora 2015」、9月12日に福岡で開催される「World Heritage Munakata」に出演するほか、10月には学園祭ツアーを開催する。10月13日にZepp Tokyo(東京都江東区)で開催される「ビクターロック祭り 番外編 IchigoIchie Join 2 家入レオ × 大原櫻子」に出演。
(インタビュー・文・撮影:榑林史章)
2024年12月23日 13:00時点
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