ウルフルズ:4年半のブランクでメンバーが見いだしたこと アルバム「ボンツビワイワイ」を発売 

4年半のブランクにバンドについて見つめ直したというウルフルズのメンバー
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4年半のブランクにバンドについて見つめ直したというウルフルズのメンバー

 ロックバンド「ウルフルズ」が、前作「ONE MIND」から約1年4カ月ぶりのアルバム「ボンツビワイワイ」を9日にリリースする。10月公開映画「探検隊の栄光」の主題歌にも決定しているアルバムの表題曲「ボンツビワイワイ」、テレビ東京系ドラマ「僕らプレイボーイズ 熟年探偵社」の主題歌「ロッキン50肩ブギウギックリ腰」など全10曲が並び、ウルフルズらしい楽しさと熟練の演奏が味わえる仕上がりだ。2009年夏に一旦、ウルフルズとしての活動を休止するも、その後4年半を経て14年2月、再びバンド活動をスタートさせた4人に、新アルバムの話や活動休止から再始動、そして現在に至る心境などについて聞いた。

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 ――活動を再開して、「久しぶりに4人が力を合わせて作った力作」となった前作「ONE MIND」に続く今回の復活第2弾アルバムですが、楽曲の方向性はどのように固まっていったんですか。

 トータス松本さん:昨年、「ONE MIND」のツアーに出て、アルバムの曲ももちろんたくさん演奏するんですけど、お待たせした部分でのいろんな初期の曲とかも演奏しまくったんですよ。そうしたらお客さんが喜んで、アンケートとかを見ても、印象に残ってるのは、そういう初期の“荒っぽくて何を言ってるわけもなく、ただ楽しい”みたいな曲というか。それは、クオリティーは低いかもしれへんけど、やる方も楽しいんですよね。だから「ONE MIND」が力作やった分、次はものすごい気楽な作品を作るのもいいかもなあって。来年(2015年)一発目は「完全無欠のパーティーソングを作りたい」っていうお題目を掲げたんです。

 サンコンJr.さん:ツアーの後半に松本君から(アルバム表題曲の)「ボンツビワイワイ」のデモテープが送られてきて、「今後のウルフルズはこういうことをやっていったらいいんじゃないか」みたいな。その時、全員で「この曲すごくいいな」「ゆくゆくはパーティーアルバムみたいになればいいな」という話が出てきたりして、進んでいった感じですね。

 ウルフルケイスケさん:ライブを通じて全員が同じようなことを感じたんですけど、ぐるっと2、3周回ったあとのバンドを組んだころのような感じというか。意味とか全然ないけれど、ものすごく気持ちが入ってて楽しい曲を演奏していたなっていう。そういう雰囲気をまずどうやったら僕らの演奏でレコーディングできるか、ということでしたね。

 ジョンBさん:ずっと繰り返しで、原点回帰もあるし、ちょうど今はそういう時期かなって。「ボンツビワイワイ」がそういう曲やったんで、なんかうれしいんですよね。帰る場所があるっていうのはすごく幸せなことで、そういう時に、4人がワッとまとまって面白いものを作れるか。今、これをやる難しさもあるし、そこがすごく大事やったかな。

 ――2曲目の「ロッキン50肩ブギウギックリ腰」は、とてもソウルフルでファンキーで、歌詞もユニークですね。どんなきっかけで作ったんですか。

 トータス松本さん:正月にマウイ島へ旅行に行ったんですけど、レンタカーで、古い曲がよくかかるラジオにチューナーを合わせて広大な道路を走ってたんです。その時にかかっていた曲がヒントになって。元ネタは、50年代のニューオーリンズの曲「ロッキン肺炎とブギウギ・インフルエンザ」(注:原題は「Rockin' Pneumonia and Boogie Woogie Flu」。Pneumonia=肺炎、Flu=インフルエンザの意)なんやけど、恋を病に例えてるような歌で、昔のウルフルズはそういう感じなんですよね。人があんまり題材にしないようなことでもワーッと歌うとそれなりに聴こえる、みたいな。だから得意っちゃ得意で、そんなにシリアスじゃない病名をソウルフルに連呼したらオモロイ歌になるんちゃうかなと。

 ――失礼ながら、年代的に実体験なのかな、と……。

 トータス松本さん:実体験なんかありまくりでしょ(笑い)。痛風と貧血の気はないけど、50肩もギックリ腰もやらかしてますからね。腰痛、ヘルニア、肉離れもやったし。けいれんってよく分からへんけど、寝不足、仮眠……ありますよね(笑い)。

 ――なるほど(笑い)。話は変わりますが、ウルフルズは09年から4年半、活動を休止していましたね。その理由と、活動を再開して実感した変化は?

 トータス松本さん:たぶんずっとやってるからやと思うんやけど、枯渇したというか、ツアーやアルバム作りといってもエンジンがかからない、みたいになったんですよね。(再始動に至ったのは)やっぱり休んでるうちに「ウルフルズって何か」っていうことをみんながちゃんと考えたんやと思う。自分にとってウルフルズの仕事は生きがいというか。もっとくさくいうと、音楽をやる意味というかね。僕はウルフルズからキャリアがスタートしていて、自分のやりたいことが人に認められたっていう現実が起こったのがウルフルズやから、それ無しではやる意味がないんです。そこに挑戦するから音楽が楽しいっていうことがあって。それを今は分かってやっているけど、以前は分かっていなかったかも。

 サンコンJr.さん:ウルフルズのことを客観的に見られるようになったのが一番変わったことかなと思いますね。「ウルフルズを運営する一人」みたいな。大切なものだから、よけい端っこにいてちゃんと客観的に見ていた方がいいのかなって。

 ジョンBさん:いい年してバンドをやっているっていうのはいいなと。青くさいもんもあり、まだまだ面白いなと思えるし。そういう魅力をもう1回考え直したっていうのはありますね。

 ウルフルケイスケさん:どういう魅力や楽しさがあって、4人でしか出されへんサウンドや曲があって、それを待っててくれるお客さんがいて……。レコーディングやライブを通じてそれを自分で再確認していって、それが積み重ねられて今回のアルバムにもつながっていったということですね。

 ――今はいい状態ということですね。バンド円満の秘けつはあるんですか?

 トータス松本さん:依存しないってことですよね。自分が自分の持ち場を納得いくようにやりきることが、他の3人の信頼を得るんやろうと思うから、「お前はこうしろ」という気持ちを持たないというか。そういう気持ちでそれぞれがウルフルズと向き合っていて、「みんな来いよー」じゃなくて、「俺は行く」って4人がそれぞれ思ってるから、今はうまくいってるのかなと思うね。

 <プロフィル>

 トータス松本さん(ボーカル)、ウルフルケイスケさん(ギター)、ジョンBさん(ベース)、サンコンJr.さん(ドラム)による4人組ロックバンド。1988年に大阪府で結成し、92年にシングル「やぶれかぶれ」でデビュー。「ガッツだぜ!!」(95年)、「バンザイ~好きでよかった~」(96年)が立て続けにヒット。トータス松本さんが初めてハマッたポップカルチャーは、3歳ごろから自覚して聴き始めたレコードと卓上レコードプレーヤー。「親父がレコードを買ってきて家にいっぱいあったので、よく聴いてましたね。内山田洋とクール・ファイブの『長崎は今日も雨だった』、森進一の『港町ブルース』、アニメ主題歌シリーズの『ハクション大魔王』のテーマとか。当時、家にあるいろんなものの中でレコードプレーヤーが一番好きでした」と話した。

 (インタビュー・文/水白京)

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