ゲーム会社のポケモンが発表したスマートフォン向けの新ゲームアプリ「PoKeMoN GO」(2016年配信予定)。同社の石原恒和社長は、任天堂の故・岩田聡社長と2年前から企画を練っていたことを明かしながら、岩田社長が多用したキャッチフレーズ「ゲーム人口の拡大」を用いて、新規層の開拓を目指すなど、既存のゲームと違う展開を目指すことを明かした。その狙いと課題を探った。
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「PoKeMoN GO」は、既存のゲームとは一線を画したゲームであることは分かるが、肝心のゲーム内容は漠然とした説明に終始し、未知数な部分が多かった。分かったのは、位置情報ゲーム「イングレス」を開発した「ナイアンティック」と共同開発した新作であり、これまでのシリーズと同様に世界展開を狙っていること。現実世界のさまざまな地域に足を運ぶことで、ポケモンをゲットして遊べる……という内容のみだ。
戦闘はもちろん、ポケモンの交換があることまでは明かしたが、ゲーム画面の発表もほぼなく、圧倒的に情報量が少ない。あまりの少なさに、メディアからは「どういうゲームなのか?」という質問もあったほどで、石原社長は「ポケモンとイングレスを知る人であれば、イメージしやすいはず」と言ったものの、明確な説明は避けた。
もう一つ、メディアの注目を集めたのが、課金モデルだ。石原社長は、スマホゲームのスタンダードである「基本利用料無料のアイテム課金」にすると述べ、さらに少数ユーザーによる高額課金とは逆のモデルを目指し、議論中であることを明かした。ただ「広く薄い課金をする」理論は多くのスマホゲームが目指して、そして挫折してきた道だ。ネットでつながるタイプのゲームは、知識やゲーム内アイテムを蓄積した上級者と、初心者の共存を図りつつも、融合が図れなかった歴史でもある。
さらにメディアからは、携帯ゲーム機で展開中のポケモンシリーズと、客層がバッティングするのでは?という質問もあり、石原社長が「スマホの間口の広いゲームで、ゲーム人口の拡大になる。相乗効果がある」と反論する場面もあった。現段階ではそれだけ見えづらいゲームであるというわけだ。
分かりづらいポケモンの新作だが、カギを握るのが、腕や服に装着する振動するウエアラブル端末「PoKeMoN GO PLUS」だ。「端末は、ゲームのプレーに必須でない」とはいうものの、石原社長は「スマートフォンの画面だけでなく、(現実世界の)周囲を見せたかった」というように、ゲームと端末を併用することで、新しい遊びを持ち込む狙いがあることを明示した。また端末は、石原社長が「持っている人がちょっと得をして、持ってない人がそれをズルいと思わないラインを目指す」と話す通り、端末の販売が実質的に課金の役割を一部果たしていることにも注目だ。
新しい遊びの提案は、任天堂の故・岩田社長が提案した携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の発表時を思い出させる。DSも「二つの画面」「タッチパネル」の操作といった提案をしたが、発表当時の評価は真っ二つに割れた。またポケモンのシリーズ初代「赤・緑」の登場時も、「データの交換」という画期的なアイデアを搭載していたが、やはり発売当時は注目されなかった。
新しいポケモンが、ゲームの持つさまざまな課題を解決し、スマホゲーム層の取り込みに成功すれば、岩田社長の遺志を継いで、ゲーム人口の拡大に貢献するばかりでなく、スマホゲームに奪われた客の取り込みが可能になり、ゲームの在り方を再び変えることになる。新プロジェクトの動向は、業界の注目を集めそうだ。
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