石ノ森章太郎さん原作の「サイボーグ009」と永井豪さん原作の「デビルマン」がコラボしたオリジナルアニメ「サイボーグ009VSデビルマン」(川越淳監督)のDVDとブルーレイディスク(BD)が11日にリリースされた。島村ジョーら9人の戦士たちとデビルマンが、ある事件をきっかけに激突するという衝撃の物語が描かれている今作で、デビルマンこと不動明の声を担当した浅沼晋太郎さんと、テレビシリーズで同役を演じた田中亮一さんに話を聞いた。
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人気作の世紀のコラボレーションについて、「009とデビルマンがいったいどうやってつながっていくのかが気になった」と話す田中さんは、「009の話があり、次にデビルマンの話があってと交互に話があるというのは、流れとしては面白いと思った」と第一印象を語る。一方の浅沼さんは「デビルマンを演じさせていただくことが一番びっくりしたのですが、009とコラボするということで、驚きがいっぺんに来すぎて聞き返しちゃいました」と依頼があった際に自分の耳を疑ったことを明かし、「最初は、以前同じ監督で『マジンカイザーSKL』というのをやっていたので、それだとばかり思っていたのですが、デビルマンと聞いて驚きました」と振り返る。
自身が新たにデビルマンを演じることを浅沼さんは「最初から見ていた作品や最初から知っている俳優に声をあてるということは、そんなにない」と前置きし、「オーディションを受けるためにコミックを読んだり、オーディションで初めて作品の名前を知ったりすることが多いのですが、デビルマンは誰もが知っているのでびっくりしました」と当時の心境を打ち明ける。発言を聞いていた田中さんが「知ってるの? 有名なんだ(笑い)」とジョークを飛ばすと、「有名です!」と浅沼さんは間髪入れずに応じ、「だから誰かにいいたいと、ちょっとうずうずしていました」といって笑う。
大きな驚きとともにデビルマン役に決まった浅沼さんに対し、“初代”デビルマンの田中さんは「(デビルマンは)『お前、今回はこの役をやるから』といわれてやった」と事実を明かす。続けて「事前に聞かされていたわけではなく、撮影所に行ったらデビルマンで主役と聞かされたから、頑張ってやろうとかそういうの(気負い)はなかった」と話すも、「主役だから気持ちがいいし、面白いから気に入ってやっていました」と笑顔で語る。「前もって知らされても震えるのに、当日というのはすごい!」と浅沼さんは驚いていた。
役作りで意識した点を聞くと、浅沼さんは「変身したときにテレビ版のようなビジュアルだったら、不動明のまま演じようと思っていたのですが、どちらかというと(原作の雰囲気に近い)野獣のような感じなので、ビジュアルに合った感じの演じ方をしようと、声も変身させていきました」と説明すると、田中さんが「相当、声が変わっていてすごいね」と絶賛する。
さらに、「“昭和感”は大切にしようというのはありました」と切り出した浅沼さんは、「引ったくりをするキャラクターが学ランで、原作に出てくるすごい顔のチンピラだし、駐車場で踊っている若者たちがゴーゴーダンスを踊るなど昭和を感じさせる」と続け、「009サイドがスタイリッシュにいくのであれば、こっちは“昭和感”は大切にしようと。いい回しとかもそうだったので、そこは(昭和感を)守ろうと思って演じていました」と声のイメージについて説明する。
今作のデビルマンのビジュアルは、より悪魔っぽく原作のテイストに近いが、「全然違うから同じようにやったってしょうがないし、新しくやるのでいいと思う。全然別で考えていい」と田中さん。「最初に知っているのはテレビ版の姿なので、10代後半ぐらいに初めて原作を読んだら、こんなデザインでこんな物語なのかとびっくりした」と振り返った浅沼さんは、「原作とも違うし、年代によってもデビルマンは違ったりと、もしかしたら既存のマンガ作品の中で、一番パターンがある作品なのではと思います」と持論を展開する。
「デビルマン」の作品の魅力を、田中さんは「不動明と美樹との関係」といい、「好きだけど好きといわず、お互いに悪ぶっている関係が面白い」と独自の視点で説明する。さらに、「戦いのシーンもあるけれど、2人の関係性の方がやっていても人間味があり面白かった」と演じているときから感じていたという。
一方、浅沼さんは「子どもの頃から『仮面ライダー』や『ウルトラマン』とかを見てきましたが、自分の正体がそれであるということをいわないヒーローばかりだった」と切り出し、「自分の近しい人にばれずに敵を倒すという、仲間がいても孤独な感じというのが、海外ヒーローのようにどこかカラッとした感じではなく、背負ったものがあってちょっと悲しいニヒリズムみたいなものを持っている日本のヒーロー的でグッとくる」とヒーロー像を語り、「デビルマンは特にそういう感じがします」と力を込める。
今作の見どころについて、浅沼さんは「もともと『サイボーグ009』と『デビルマン』を知っている方はもちろん、これから触れる方にもすごく魅力のある“お祭り感”満載な作品だと思う」と語り、「原作から好きだという方には、『おあ!』となるものが最後まで見るとあると思います」と自信をのぞかせる。一方、田中さんは「(デビルマンを演じた)当日から45年たつとは思っていないわけで、いまだに(自分を)デビルマンだと思ってくれる人がいたり、デビルマンというのがみんなの中にあって応援してくれているというのは大変ありがたいことだと思っています」と感謝を口にする。そして「009とデビルマンが、どこでどういうふうに重なっていくのかに興味がある」と期待していた。
ファンに向けて、浅沼さんが「昔から009やデビルマンが好きだったという僕より少し上の世代の方から、初めてこの作品に触れる方まで、皆さんどこか共感だったり興奮だったりいろんな面で楽しめる作品だと思うので、1話たりとも見逃さずに見ていただけたらと思います!」とメッセージを送ると、「デビルマンを永遠に可愛がっていただきたいと、隅から隅までよろしくお願い申し上げます!」と田中さんも力強く宣言した。
「サイボーグ009VSデビルマン」のコンプリートBD<特別限定版>」初回限定は1万3800円(税抜き)、全3話収録の「コンプリートBD通常盤」が9800円(税抜き)、DVD1巻が2900円(税抜き)で11日にリリース。DVD2巻は12月9日、3巻は2016年1月6日発売予定。
<浅沼晋太郎さんのプロフィル>
1976年1月5日生まれ、岩手県出身。脚本や演出、コピーライターなど幅広い活動を行う。2006年にテレビアニメ「ZEGAPAIN-ゼーガペイン-」への出演を契機に、本格的に声優としての活動をスタート。主な出演アニメに「ダイヤのA」「東京喰種トーキョーグール」「暗殺教室」などがある。
<田中亮一さんのプロフィル>
1947年1月26日生まれ、東京都出身。アニメや洋画などで声を担当。これまでに「デビルマン」の不動明や「キン肉マン」のウォーズマン、「聖闘士星矢」のデスマスクなど数多くのキャラクターを担当してきた。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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