注目映画紹介:「ちはやふる-上の句-」 広瀬すず、野村周平、真剣佑ら若手の演技がみずみずしい青春映画

「ちはやふる -上の句-」のワンシーン(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社
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「ちはやふる -上の句-」のワンシーン(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

 末次由紀さんの人気マンガを女優の広瀬すずさんの初主演で実写化した映画「ちはやふる」(小泉徳宏監督)の2部作の前編「上の句」が19日に公開される。主人公・千早を演じる広瀬さんをはじめ、太一を演じる野村周平さん、新(あらた)を演じる真剣佑さんら今をときめく若手俳優が顔をそろえた。世間にはあまりなじみのない「競技かるた」を題材にした高校生たちの青春映画だ。

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 「ちはやふる」は、末次さんが2007年からマンガ誌「BE・LOVE」(講談社)で連載中で、コミックスは31巻まで発売され、累計発行部数は1600万部を超えるベストセラーマンガ。10年には「このマンガがすごい!オンナ編」第1位を獲得した。主人公の千早が、転校生の新との出会いを通じて競技かるたの魅力に目覚め、幼なじみの太一らかるた部の個性的なメンバーたちとともにかるたに情熱を燃やす姿を描いている。

 実写化にあたっては「タイヨウのうた」(06年)や「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(13年)など青春映画で知られる小泉監督が手がけた。小泉監督は今作で取り扱う百人一首という“歌”に引かれたという。「一つ一つに深い意味が込められた歌はある種、音楽のようだ」と感じた。ただ、競技かるたは1秒未満のスピードで競う世界。そこで1秒に1000コマ撮影できるハイスピードカメラ「ファントム」を使用した。そしてCG(コンピューターグラフィックス)に頼らず、極力実写を使って迫力の競技シーンを生み出すことに成功した。

 そこに若手で勢いのある広瀬さん、野村さん、今作でメガネ男子を演じ人気が出そうな真剣佑さんらのみずみずしい演技、センスを感じる音楽が加わり、“最強”の青春映画が出来上がった。原作はコミックス30巻以上という長いストーリーのため、映画の前編「上の句」は東京都大会決勝まで、「下の句」は初の全国大会までを描いているが、それぞれのラストに山場とカタルシスがあり、どちらかだけを見ても1本の映画として成立している。同じカルタ部の部員を演じる上白石萌音さん、矢本悠馬さん、森永悠希さんらのキャラクターは、原作と似ていない部分もあるが、それぞれに個性的で魅力があり、またライバル役の清水尋也さん、松岡茉優さんの存在感も際立っている。

 大ヒットマンガを映画化するのはプレッシャーがあっただろう。だが、原作をなぞることに終始せず、新たな熱い青春物語として成立させた小泉監督の手腕に拍手を送りたい。主題歌はPerfumeの「FLASH」。「ちはやふる-上の句-」は19日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。後編の「下の句」は4月29日公開予定。(細田尚子/MANTAN)

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