歌舞伎俳優で重要無形文化財保持者(人間国宝)の片岡仁左衛門さんが28日、名古屋市内で、10月の公演「錦秋名古屋 顔見世」の会見を行った。同公演は、建設中で2018年春開業予定の御園座に代わり、金山の日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(名古屋市中区)で行われ、今回で4度目。仁左衛門さんは「金山は初めて。名古屋から歌舞伎の火が消えないように守っていきたい」と話した。仁左衛門さんが名古屋で顔見世に出演するのは2012年以来、4年ぶり。
あなたにオススメ
「豊臣兄弟!」では池松壮亮が! 大河ドラマ“秀吉俳優”史を振り返る
同公演で仁左衛門さんは、市川染五郎さんと、歌舞伎の三大名作の一つとされる「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」で共演。染五郎さんについて「私たちのあと、頑張ってもらわなきゃいけない人ですから、非常に(共演が)楽しみ」と笑顔を見せた。
「菅原伝授手習鑑」は菅原道真の太宰府流罪が題材。今回はそのうちの「寺子屋」を、仁左衛門さん、染五郎さんと、片岡孝太郎さん、中村梅枝さんら若手の出演者で上演する。仁左衛門さんは「寺子屋を、この世代とやるのは初めて」とにっこり。染五郎さんについて「私から言うのは僭越(せんえつ)ですけれども」と前置きしつつ、「同世代とやるのもいいけど、先輩とやるのは、彼にとってプラスになると思う。(上の世代が)育てていかなければいけない。そういう意味でもいい企画だと思います」と語った。
会見には今回、森鴎外原作、宇野信夫作・演出の「ぢいさんばあさん」で、仁左衛門さん演じる美濃部伊織の妻・るんを演じる中村時蔵さんも出席。同作は変わらない夫婦の情愛を描いており、時蔵さんは昨年、同作で仁左衛門さんと共演した際を振り返って「反省点が一つありまして、シワを書きすぎたんです。写真で見るとちょっと怖い感じがしたので、今回はシワをもう少し少なくして老けて見えるようにしたい」と話し、笑いを誘った。松竹の安孫子正副社長、御園座の長谷川栄胤(よしつぐ)社長も出席した。
ほかに1962年以来の上演となる「品川心中」や、時蔵さんによる「英執着獅子(はなぶさしゅうちゃくじし)」などが上演される。公演は10月2~26日。チケットは8月25日に発売される。