注目映画紹介:「真田十勇士」中村勘九郎と堤幸彦監督のタッグで贈る痛快時代劇

映画「真田十勇士」のメインビジュアル (C)2016「真田十勇士」製作委員会
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映画「真田十勇士」のメインビジュアル (C)2016「真田十勇士」製作委員会

 2014年にヒットした舞台の実写化「真田十勇士」(堤幸彦監督)が22日に公開された。舞台と同じく歌舞伎俳優の中村勘九郎さんと堤監督がタッグを組んだ。今秋に舞台も再演されるビッグプロジェクトの一環で、天下の名将・真田幸村に加藤雅也さん、真田を支える勇士に、松坂桃李さんら人気の俳優をキャスティング。大島優子さんがくノ一役で本格時代劇に初挑戦している。

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 関ケ原の戦いから14年。徳川家康(松平健さん)は、豊臣家の本丸である大坂城を攻める機会をうかがっていた。亡き秀吉の側室・淀(大竹しのぶさん)は、秀吉の遺児・秀頼(永山絢斗さん)を守るために、家臣・真田幸村(加藤さん)を呼び寄せる。幸村は実は腰抜け男で、男前の顔立ちと運のよさで勝ち上がってきたといい、実像と虚像のギャップに悩んでいた。幸村に出会った猿飛佐助(中村さん)は、「本物の天下一に仕立てる」と約束し、「真田十勇士」を作って、大坂冬の陣、夏の陣に挑む……という展開。

 痛快でド派手な時代劇超大作。広大な場所で、ハイスピードカメラやステディカムなどを自在に使って繰り広げられる戦闘シーンは、躍動感にあふれ、迫力満点。天井裏もある大坂城の巨大セットを作り、真田丸をオープンセットで建てたという凝りよう。世界的な評価も高い黒澤和子さんが手がけた衣装も、エッジが効いていてカッコいい。そして見どころは、やはり勘九郎さんの芝居の妙に尽きる。滑稽(こっけい)で、仲間思いで、真田を立てる姿もよし。戦国の荒波もなんのその、身軽に乗りこなす。物語を転がしていく役回りとして目が離せない。それだけに、真田との掛け合いのシーンがもっとあったら、なおよかったような気もする。

 真田は実は腰抜けだったという大胆な設定は、演じる加藤さんのダンディーな風貌が生かされ、「私には荷が重い」とクヨクヨとしている姿に、母性本能をくすぐられる女性も多いのではないだろうか。真田の心情の変化がもう少し描き込まれていれば、なおよかったのではないか。十勇士の面々は、霧隠才蔵に松坂さん、根津甚八に永山絢斗さん、筧十蔵に高橋光臣さん、海野六郎に村井良大さんらイケメン俳優をそろえて、時代劇好き女子を引き寄せている。そして、どんでん返しに度肝を抜かれること必至。22日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。クリント・イーストウッド監督最新作「ハドソン川の奇蹟」にナミダでした。

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