アイドルグループ「Sexy Zone」の佐藤勝利さんと女優の橋本環奈さんがダブル主演した映画「ハルチカ」(市井昌秀監督)が4日に公開された。初野晴さんの青春小説シリーズが原作で、気が強く負けず嫌いなフルート初心者のチカ(橋本さん)が、高校で再会した幼なじみのハルタ(佐藤さん)とともに、弱小吹奏楽部のメンバーを集めてコンクール出場を目指す姿を描く。穗村千夏(チカ)役を演じた橋本さんに話を聞いた。
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今作への出演が決まったときのことを、「『ハルチカ』シリーズの小説を読ませていただいたとき、すごく濃くていろんなキャラの人たちが集まって吹奏楽をやっている様子を想像して、撮影がとても楽しみになりました」と橋本さんは振り返り、「チカ自身の性格は何事にも真っすぐで、みんなを奮い立たせて引っ張っていくような存在」と自身の役の印象を語る。
橋本さんが演じるチカは、幼なじみのハルタに対し、親しみを込めて殴ったり蹴ったりもするが、「ハルタにしか見せない表情ですし、ハルタとチカの関係性があのシーンで見える」とチカの行動を分析し、「(チカはハルタに対して)変な遠慮がないということを、あのシーンは物語っているかなと思います」と説明する。
実はチカがハルタを殴ったり蹴ったりするシーンがクランクイン初日だったといい、「そのシーンが最初だったからこそ、『ハルタとチカの関係性はこうなんだ』というのが分かった気がして、それが映画の中でも積み上げられているんだなと思います」と橋本さんはしみじみ語る。
初共演となった佐藤さんの印象については、「監督とスタッフさんも交えた顔合わせで初めてお会いしたのですが、物静かな印象がありました」と言い、「リハ(ーサル)をしたり、楽器の練習をみんなで集まってやったりなどありましたが、ハルチカの関係性は撮影が始まってから積み上げていく感じが大きかったです」と振り返る。
映画は吹奏楽にスポットが当てられていて、数多くの楽曲が流れることも魅力となっている。チカと同じく、フルート初挑戦だった橋本さんだが、「お仕事の関係で、練習を始めたのが他の共演者の皆さんより、ちょっと遅くなったんです」と切り出し、「そのときには皆さん、かなり曲が吹けるような話を聞いていたので、頑張らなきゃいけないな、と」と決心したという。
そういった状況の中、橋本さん演じるチカの難しい演奏パートがあるため、「撮影に入ってからも先生と一緒にずっと練習していました。(フルートは)1日やらないとできなくなってしまうような楽器なので、慣れが必要だと思い、練習あるのみでした」と振り返る。
他のキャストも「未経験者や初心者がすごく多くて、楽器をやっていなかった人も多かったのですが、逆に楽器をやっていた子が別の楽器に挑戦したり、すごく(楽器が)できる子が初心者役だったりしたので、(お互いに)できる楽器は教え合ったりしました」と橋本さんは話す。
全員での演奏シーンでは、「まとまって見えるように息の吸い方とかを合わせようと、ここで一緒に吸ってなど、隣の人同士で決めていました」と臨場感を出す工夫の一端を明かし、「上半身を揺らしてみたり、前のめりになる姿勢だったり、キャスト同士で相談しながら細かくやりました」とリアリティーを追求したという。
撮影現場では、「映像を撮っていない間も役名で呼び合って、役としてお互い接していたので、すごく和気あいあいとした雰囲気で、団結していたと感じました」と橋本さんは笑顔を浮かべ、「映画の中で、片桐部長(前田航基さん)の『吹奏楽部員っぽくなってきた』というせりふがあるんですが、そのせりふの通り、みんなリアルに吹奏楽部員になってきたと実感していました」と感慨深げに語る。そして、「誰かが演奏していると、他のみんなも乗って演奏し始めるっていう部分も、本当の吹奏楽部っぽいなと思いました」と笑顔で語る。
橋本さん自身、部活動の経験はなかったが、「(映画の中では)本当の部活のような気持ちになっていきました」と言い、「チカが吹いているパートが難しく、そこが吹けないと連帯責任になってしまうので頑張らないといけない、というところは、まさにリアルでした」と実感を込める。
入部してみたかった部活は…?「高校は部活をしていなくてもすごく楽しかったのですが、中学生の時、仮入部期間に実は吹奏楽部へ入ったんです。そこでサックスやパーカッションを触った気がします」と吹奏楽部との“縁”を打ち明け、「(吹奏楽部に)入ってみたいと思ったときはありました。肺活量も必要だし、吹奏楽部って意外に体育会系だなと思いました」と当時の印象を話す。
映画でも浜辺を走るシーンがあるが、「実際に走っているのですが、(撮影中に)雨が降ってきちゃって……。最初は小雨だったんですけど、豪雨になって撮影が中断しました」と切り出し、「雨だから使われないかもしれないって話になって心配でしたが、出来上がった作品を見て、一生懸命、雨の中を走ったそのシーンが使われていて、みんなホッとしました(笑い)」と話す。
チームワークのよさが伝わってくる「清水北高吹奏楽部」のメンバーだが、ハルタとチカ以外の全員がクランクアップの日、その団結力を示す出来事があったという。「全員での演奏シーンを撮っていて、朝方からずっと演奏していて、金管(楽器)は口がきつくなってきたり、木管(楽器)は指の押さえが大変だったりと、みんなで頑張っていた中、誰もが『このまま終わりたくないな』という気持ちでいました」と言い、「そんなとき、勝利くんがスタッフさんたちに頼んでくださって、撮影が終わってから撮影関係なしに演奏ができたんです。本当にいい思い出になりました」と自然と笑顔がこぼれる。
キャストの心が一つになり、「監督やスタッフさん、(楽器を)教えてくださった先生方に向けて演奏したのですが、監督が今でも『その動画をちょくちょく見る』って言ってくださっていました」と喜び、「(演奏したのは)オリジナル曲の『春の光、夏の風』で、本当にすてきな曲なので全国の吹奏楽部員もぜひ、演奏していただけたらなと思います」と思いをはせる。
今春、高校を卒業した橋本さんは「本当に楽しかった」と高校3年間を振り返りつつ、「福岡に残るって決めたのは自分ですが、最初は大変だろうなっていう気持ちの方が大きかった」と高校入学時は不安もあったという。「東京にお仕事で来るたびに、時間的な面から別の高校に移ろうと思ったこともありましたが、周りの友達や先生たちが支えてくれました」と感謝する。
学校行事への参加もなかなか難しいこともあったが、「普段のな何気ない会話や、学校からの帰り道、友達の家まで2時間かけて歩いて帰ったりとか、人からすると無駄な時間のように思われる時間も全然無駄ではなく、そういう何気ない時間が青春だなって思いますし、大事なんだなって」と目を輝かせ、「友達と会う時間がすごく大切だなと感じました」と言葉をかみ締める。
映画ではチカが落ち込み個人練習に打ち込むシーンがあるが、橋本さん自身、「あまり落ち込むことがない」と話すも、「挫折という面でいうと壁にぶつかることも失敗することも多々ありますが、それをきつくても続けるか続けないか、やるかやらないかだと思うんです」と持論を語り、「何かを続けて極めていくのは大変だし、何事もぶつかることって多々あると思いますが、これからも一生続けたいって思えるお仕事なので、立ち止まらずに前向きに頑張っていきたいです」と女優の仕事へのスタンスを明かす。
映画の見どころについて、「“吹キュンポイント”というのがたくさんあって、吹奏楽をみんなが演奏しているところ一つとってもキュンとしますし、(ハルタが)困ったときに手を差しのべてくれるシーンの感情の変化は、まさに青春をキュンと感じます」とアピールした。映画は全国で公開中。
<プロフィル>
1999年2月3日生まれ、福岡県出身。2014年、第21回「ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー」に輝いたほか、第26回「日本ジュエリーベストドレッサー賞」を史上最年少で受賞。16年には「セーラー服と機関銃ー卒業ー」で映画初主演を務める。主な出演作に映画「奇跡」(11年)、「暗殺教室」(15年)など。今年はヒロイン・神楽役で出演した映画「銀魂」の公開を7月14日に控える。
(取材・文・撮影:遠藤政樹)
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